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 解放運動推進本部では、6月21日(火)、宗務所議場を会場に、「死刑問題に関する学習会」を開催し、宗務職員、また大谷派の教誨師会や保護司会の方々をはじめ、約50名の参加がありました。
死刑問題についてのドキュメンタリー映画「望むのは死刑ですか 考え悩む“世論”」を参加者全員で視聴した後、同作品の監督である長塚洋(よう)氏から、制作にあたっての経緯や趣旨をお話いただきました。

 映画では、日本政府が死刑存置の根拠としている内閣府実施の意識調査の結果(国民の8割が死刑に賛成)について疑問を投げかけています。

 “死刑の情報提供や議論を、政府は避けてきた。命を奪うこの刑罰を、実は人々はよく知らない”

 ある都内の会場に、一般市民135人が集められ、2日間にわたる「審議型意識調査」がおこなわれます。みんな初対面です。弁護士や専門家、犯罪被害者などから話を聞き、市民同士で意見を述べ合います。すると市民たちが、さまざまな反応を示し始めます。死刑に反対する被害者がいることを知って「死刑支持が揺らいだ」、死刑が犯罪を減らすとは証明できないと知って「もっと苦しい刑罰が必要かも」など、冤罪による死刑判決の状況も含め、死刑の現実を知ることで初めて悩み、当たり前と思ってきた考えを揺さぶられる市民たちの姿が描かれていました。

 「どちらかの主張を押し通そうとは考えていない。死刑が続くことを望む人であっても、廃止を願う人であっても、映像の中で悩み迷う人々に自分を重ね、私たちの大切な問題と向き合う体験を共有してほしい」と長塚監督は言われています。映画視聴後のお話の中でも、この審議型意識調査では、「それぞれの参加者に少しずつ変化が生じ、自分と違う意見を持つ人を受け入れていくやわらかさがそこにはあった」と話されました。

 その後、質疑応答での活発な意見交換があり、「法律や制度だけで人はなかなか変われない。被害者と加害者の出会いや矯正施設へのかかわりなど、話し合う場を作っていく必要もあるのではないか」など、参加者みんなで死刑問題についての議論を深めました。

 国民の総意と言われる「世論」に今一度向き合い、死刑の現実について学ぶことを通して、私たち一人ひとりがしっかりと考えていくことの必要性をあらためて感じました。


 

 宗派ホームページ 宗派声明 にて、「死刑執行の停止、死刑廃止を求める声明」を掲載しております。