おみがきの様子
講習会なので、仏具の説明やおみがきのコツ、お荘厳の作法についてのお話も
仏具も心もピカピカ

鹿児島教区北薩組永正寺(大谷泰久住職)で行われた北薩組坊守婦人研修会(齊藤秀子会長〈光明寺坊守〉)を取材しました。

同会は戦時中に坊守が法務を代行し、間衣が手に入らない時は手作り間衣を一緒に作る輪が坊守会へと進展したのが始まりです。坊守会だけで行っていた会合が、後にお寺の婦人会と合同になり、北薩組坊守婦人研修会と名づけられました。北薩組13カ寺の中から、坊守と門徒の婦人会の方々を併わせて毎回60名程度の方が参加されています。

今まで同会では鹿児島ならではの「かくれ念仏」の研修会や仏華の生け方、腕輪念珠の作り方、バーベキュー大会など幅広い研修内容でさまざまな催しが行われてきたのですが、今回の研修会は初めての仏具磨き講習会でした。

講師は私(北薩組光明寺衆徒齊藤曉壽)が承りました。内容は、「磨き剤は少量で十分」などや「彫に入り込んで固まってしまった磨き剤は亀の子たわしを手ぬぐいで巻いてから使用すればいい」などの注意点を細かに説明しました。また、鶴亀の向きや香炉の置き方等を簡単に説明して、そして、いよいよお磨きの開始です。

齊藤会長の「お磨きだとすぐに終わってしまい間が持たないかもしれない。どうしましょう?」という心配をよそに、時間が足りないくらいに皆さん、御自宅のお内仏から持ってこられた各自の仏具を前にして、とても楽しそうに生き生きした表情で一生懸命、集中しながら作業をされている姿がとても印象的でした。

参加者からは、「お内仏の仏具には今まで触ったことは1度もありませんでした。帰ったら友達にお磨きの方法を教えてあげたい」(永正寺門徒・田畑利子さん)、「磨けば磨くほど、ピカピカに綺麗になるのがすごく嬉しい。鶴亀等の仏具が分解できることも初めて知りました。今後はお内仏のお荘厳についても教えてもらいたい」(永正寺門徒・西園洋子さん)などの感想も聞かれました。

1度も触れたことのない仏具が身近な存在に
1度も触れたことのない仏具が身近な存在に

後日、参加者の御礼の手紙も届いたとのこと。これは北薩組坊守婦人研修会が始まって以来のことだそうです。私は、参加された方に後日、お会いする機会があったのですが、「参加して本当に良かった」と嬉しそうに語られていました。

仏具磨きは各寺院、報恩講や春秋の彼岸前等には必ず行っているでしょう。また、ご門徒の方々の中には日常的にするのが当たり前だと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、今回の取材を通して、仏具やお荘厳に関してわからないことが多いご門徒さんが多数いらっしゃることを改めて感じました。
そのような中で、お内仏のお給仕をはじめ、まだまだいろいろなことを学びたいと意欲を燃やされた方が大変多いことが印象的でした。そして、お磨き中は、真剣に、また、夢中で楽しそうにされている姿を見て、お内仏のお荘厳の大切さを改めて感じました。
取材の帰り際に、「今度、うちのお寺にいらっしゃいよ!ピカピカになった仏具見て驚くと思うよ!」と、誇らしげな参加者の顔が忘れられない今回の取材でした。

(鹿児島教区通信員 齊藤 曉壽)
『真宗 2010年(7月)』
「今月のお寺」鹿児島教区北薩組
※役職等は『真宗』誌掲載時のまま記載しています。

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