掲示板の前に立つ存德寺のみなさん
お寺から村につながる1本道の入口に立つ掲示板と存德寺のみなさん
伝道掲示板

道行く人よ
食うか 食べるか いただくか
多くのいのちに生かされている私

杉の木のそびえ立つ尾根に程近い所に、存德寺はあります。ここは、地盤が固く谷水の豊富なところで、奈良時代に始まる歴史がある寺院です。

掲示板は、柏尾一道さんが父の死後、住職に就任された35年前から始められ、20年前からは寺までの1本道の入口にも増え、2カ所となりました。30戸余りの集落の入口の掲示板を読んで、歩いていくうちに、門前のもう1枚の掲示板を目にします。その1本道の時間と空間は、不思議な感じがあり、あたたかく迎えられているような、そんなひとときを味わいました。

住職は、月に2回は書き換えたいと心がけておられますが、言葉を探し、選び、決定するまでは、いつも1週間以上は悩んでおられるそうです。自分が「これは伝えたい言葉だ」と強く思えて、「それを伝える資格と責任はあるのか」と問われ、「やはりこれだ」と決断するまで時間を要するのだそうです。また、ここ数年、季節の花や野菜や風景などのスケッチ画を添え描きされています。絵を添えると、全体の雰囲気が和らぎ、親しみを感じてもらえる気がして、続けておられるそうです。

また、出会った言葉に、少し言い換えや言葉を付け加えたりされることもあります。村の入口のものは、真宗本廟同朋会館の食堂の入口に貼ってあるもので、「適語適所」というべきものと感動され、最後の一行を加えて紹介されています。

時折、「いつも立ち止まって読んでいます。楽しみにしています。これからもお願いします」などと、村の人だけでなく、郵便・新聞などの配達の人からも声をかけてもらえるそうで、予想以上に多くの方の目に止まり、届いていることは、「本当にうれしい」とおっしゃいます。掲示伝道は、一見地味なものですが、休まず、(ゆる)まず、励まされながら続けていき、次の代にも繋げていければと願っておられます。

2007(平成19)年に御遠忌を勤められ、そのときのお寺に集まり、語り合う喜びを、花見や夏祭りなどに繋げておられます。特に夏祭りは盛大で、お盆の里帰りの方々も、楽しみにお寺におまいりし、懐かしい方々とゆったりした時間を過ごされるそうです。
「お寺は、人が集うところ、出会うところ、繋がるところ、自分に会うところ、先祖が集うたところ」でありたいと。
あらためて、掲示伝道とお寺の存在意義を問われる取材となりました。

(大垣教区通信員 廣澤 仁子)
『真宗 2010年(8月)』
「お寺の掲示板」大垣教区14組存德寺
※役職等は『真宗』誌掲載時のまま記載しています。

shupan東本願寺出版の書籍はこちらから
読みま専科TOMOブック / 東本願寺電子BOOKストア