吉崎御坊の5月蓮如桜の散る頃にご出立

4月23日、吉崎御坊(吉崎東別院)にて熱気あふれるお出迎えを受けた蓮如上人と御影道中の一行。お着きから5月2日までの間、蓮如上人御忌法要が連日勤められました。お着きの時には満開だった蓮如桜こと八重桜の花びらはほとんど散り、代わりに眩しいほどの新緑が夏の気配を湛えた中、真宗本廟(京都)への御上洛の日を迎えました。

吉崎の人々に見送られて

蓮如聖人御忌、最後のお勤め

供奉人の見守る中、御輿納めの儀

吉崎御坊を出発する御影

吉崎の街に別れを告げる一行

5月2日、夜明け前。吉崎に到着してから休息していた御輿は、花飾り、荷積み、点検など、供奉人の方々によって出発の準備が整えられます。そして御忌法要の晨朝のお勤めには続々と人が集まり、満堂の中、相馬豊随行教導によるご法話がありました。その後、蓮如上人の御影は「御輿納めの儀」によって御輿に納められ、吉崎の消防団員の方々によって街を周ります。そして、御輿は供奉人の方々に引き継がれ、人々に見送られる中、御影道中の一行は京都に向けて出発します。
一行を見送る吉崎の人々

見送る吉崎の人々と街並みは、相馬氏が法話でお話になった「蓮如上人がこの地をお発ちになる寂しさがある」という言葉のとおり、別れを惜しむような空気に包まれていました。ご出立の合図である太鼓の音は、お着きのお迎えの時の熱気ある雰囲気とは異なり、これからの長い旅路を勇気づけるようにどっしりと鳴り響いていました。

DSC06861「とうにわかっていることができない私」を知る道中

人々に見送られ、いよいよ御上洛の歩みが始まりました。道中は平坦な道ばかりではなく勾配の急な坂もあり、供奉人の方の「よーいしょ!」の掛け声で辛い道も乗り越え進みます。

供奉人のリーダーである宰領の清水教示さんは「この道中は御仏事です」とおっしゃいました。先に進むにつれて消耗していく体力に反し、一行を出迎えてくれる沿道に立つ人々やお立ち寄り会所の人々の声は、一層力強く響いてきます。道中で出会うお一人お一人に「ありがとうございます」と答える声の数も、足取りが重くなるほどに増え、一行と人々との距離は近くなっていくように感じられました。

DSC06862一行が途中お立ち寄りする会所では、相馬随行教導による法話があります。その法の中で、「とうにわかっているのにできない」という、頭で理解できていたとしても、また、形だけを保っていたとしても、中身を伴っていくことは日常生活の中では難しいということについてお話されました。

「南無阿弥陀仏」とお称えすることは知っていても、自分自身にとってその行いが一体どういう意味を持つのだろうか、というお念仏の内実を、蓮如上人の歩まれた道中を実際に歩んでいくことで知らされていく。こうした力が、この御影道中御上洛約280㎞の道のりには秘められているのかもしれません。

DSC069105月9日の午後、一行は真宗本廟に到着の予定です。蓮如上人と共に、自身のお念仏の歩みを重ねられた御影道中の一行を、宗祖親鸞聖人がお迎えします。