【5月6日(旅程2日目)】

合掌への道②-24

合掌への道②-25

今日は雨の予報。先日100円ショップで購入した雨具(上下のカッパ)を、テーピングなどと一緒にバッグに入れて、コンビニへ。飛び込みでの参加なので、昼食と飲み物は持参しなければならないのだ。

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朝7:00、勤行がはじまる。前に座った方の足の裏が気になる。もう随分歩かれたようで、皮膚が硬くなっておられる様子だ。

勤行後、本堂前では準備に余念がない。御影道中の現場を統括する「宰領」から、本日の注意事項、御仏事であることを確認し出発する。本日は9つの会所に立ち寄る予定らしいが、私は午前中までの参加のため、5つめの会所・念慶寺で別れる予定にした。

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今日は子どもたちが数名いる。
長浜教区第24組の青少年教化事業で焼きものづくりを行い、その完成した器の受け渡しが、この御影道中の会所で行われるからだ(2017/6/22記事参照)。

いたるところで、待ち受けて合掌する姿に出会う。工場のなかに居り、道中が見えないはずなのに手を合わす人も。なかには一緒に綱を引く人も。次の会所からお迎えに来られる場合もある。

合掌への道②

合掌への道②

合掌への道②

御影道中は蓮如上人の御影と歩くだけではない。
会所に到着すると、まず蓮如上人の御影が仏間(または本堂)までお運びする。随行教導や宰領はじめ、供奉人、その他の方々、地域の人々も入り、ともに勤行、聴聞する。入りきらない場合は、庭も含め、すべての場所が聴聞の場となる。

合掌への道②-36

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11時ごろ、私の今回の最終地点、念慶寺で勤行、聴聞させていただいた。
御影道中の皆さんは、屋外に並べられた机で特製カレーを召し上がっておられたが、私はあとでコンビニで買った助六寿司をいただくことにした。昨夜からの参加ではあるが、感じるものはたくさんあるが、ただただ別れを惜しみ、いろんな方々と話をしたりして雰囲気を満喫する時間を過ごした。

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木之本を愉しむ~小さな幸せがたくさんある街、木之本~

正午ごろ、次の会所へ向かう皆さんをお見送りして、私は木之本へ戻るために、念慶寺から歩いて20分ほどの河毛駅へ。ところが1時間に1本のみの運行で、小1時間、小さな助六寿司を食べながら待つことに。実は、すでに遅目でもいいからお昼ごはんを木之本で!と決めていたのだ。

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電車で2駅で木之本駅。昨日の夜とは打って変わって、日中は開いている店が多い。

まずは本格的なお昼ごはんをいただく。ねらいは「すし慶」の鯖ずし。
肉厚の鯖。まずはお醤油をつけずに。
酢でほどよく締めたおいしい脂と、山椒の鮮烈な緑の香りが交互にくる。そのあと、酢飯が脂と山椒の間を取り持ち、口の中で渾然一体となる。喉元を過ぎても、山椒のピリリとした余韻がしはらく続く。ワカメとたけのこ、湯葉のすまし汁。とても品のいい鰹節の旨味によって舌の両脇の感覚がギューッとなる。
お醤油をつけると、鯖の脂がより甘く、山椒がより強く押し出してくるように感じる。味が強くなる。たぶん木之本の醤油だろう。甘い、そして昆布も強く感じる。

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食後は、お土産を買いにぶらついてみる。「すし慶」からもう少し歩くと、珍しい桑酒を作っている「山路酒造」がある。この桑酒、はじめて味わった。米と麹と桑の葉をつかって作られたとのこと。疲れた体だろうか、この豊かな甘さがとてもいい。若干のアルコールが、このとろりとした甘みをしっかり支え、しつこく感じさせない。1本購入。

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山路酒造を出て、他に当たりをつけていた数件のお店へ行こうと歩いていると、その途中でご当地の湖北地方に特化した本屋さん(「ますや書店」)があった。入ってみると、のれんに「湖北と観音と街道の本」と書いてある通り、いわゆる週刊誌的なものは一切ない。入門的な本から専門性が高い本、人気が高そうな戦国ドラマの切り口のものもある。そのうち店主が顔を出されたので会釈をしたらびっくり。妙樂寺の総代さんのお店だったとは。
以前はこの街道沿いではなく、人通りから離れた大型ショッピングセンターで本屋を経営されていたそう。その時は手広くいろんな本を取りそろえていたそうだが、方向転換したそうだ。

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さて、本屋で1冊購入して、気になっていた店へ歩いていると、木之本の中心部に「木之本地蔵尊」がある。妙樂寺と同じく、地域の方々や街道を往来する人々に支えられてきたんだろうと思いながら通過。

目指すところは、そのすぐ近く「つるやパン」だ。近年、テレビで御当地ものとして光が当てられてきた「サラダパン」のお店。昨日も、どんどん吸い寄せられるようにお客さんが集まってました。

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ありました、サラダパン。お店の1番目立つところに。

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他にも特徴あるパンがあるのでながめていたら、

「もしかして御影道中でいらしてた方?」

とレジの女性から声をかけていただいた。

「やっぱり、そうですね!」

お商売をしていても、御影道中は気になる恒例行事。
どんな人が来ているのか、楽しみなのだろう。

声をかけていただいたうれしさもあって、サラダパンと特製サンドイッチ、5つずつ購入。お土産にしよう。

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その後、旧本陣と妙樂寺の前を通り過ぎ、向かったのは日本酒「七本槍」の蔵元、冨田酒造。
こちらもお客さんがひっきりなしに出入りしている。人ばかりではない。つばめも店内で巣をつくって、出たり入ったりしている。
七本槍ブランドでこれほど豊富な種類があるとは驚きだ。酒づくりから生まれる大吟醸の酒粕、スイーツや酒器も揃えている。錫の器は、飲み物さらに芳醇な味わいに変える。小さな2本がセットになった1箱と、酒粕を購入。

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もう随分と愉しんだので、最後にひと息入れよう。

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昨日気になって、今日の締めと決め込んでいた「ブックカフェすくらむ」へ。民家をリノベーションして、落ち着いた雰囲気そのままに、何とも言えないぬくもりがいたるところに感じられる。もちろん、古いものを大切に再利用したり、手作り感が無くならないような店づくりをしていることもあるが、それ以上に、この木之本を大切にする思いが至るところに感じられる。
おすすめのままに、ケーキセットを注文。クリームチーズとイチゴの味のバランスがとてもいい。

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お店の方とあれこれ話していて、この店の成り立ちにも話がおよぶ。
驚いたのは、インターネットで融資をつのるクラウドファンディングを活用したということと、何と妙樂寺の坊守さんや先ほど立ち寄った山路酒造の若手の方も中心人物とのこと。また坊守さんに会って話をお聞きしたい衝動にかられる。
木之本の街道を歩いて感じたことは、ひとつひとつのお店にこめられた思いがあり、そして実はその思いが根っこで絡み合ってつながっていることだ。他にも立ち寄ったお店はあるが、どこからでもそのつながりにアクセスできる。縦横無尽に張り巡らされた道。それを解読していく愉しみが、この地域にはある。


♣旅程♣
5/5
●午後4時30分、木之本駅の駐車場に自家用車を駐車。妙樂寺へ徒歩で移動。
●午後4時50分ごろ、妙樂寺に到着。拝観。
●午後6時30分ごろ、御影道中ご到着。
●午後8時、勤行、法話。
●午後8時40分、解散。ホテルへ向かう。
5/6
●6時50分、昼食を購入して妙樂寺に到着。
●7時、勤行
●7時30分、御影道中、ご出発(3つの会所に立ち寄る)。
●正午ごろ、念慶寺で御影道中と別れ、河毛駅まで徒歩で移動。
●午後1時18分、木之本駅へ向けて河毛駅発車。
-その後、木之本の街道を散策-
●午後6時、木之本駅から帰宅。

【旅人 竹原了珠(企画調整局参事)】