国の法律で「過疎」「みなし過疎」「一部過疎」と認定された地域に講師を派遣し、「真宗の教え」に親しんでいただく「お寺にお役立ち講師派遣」。このたびは、長崎の離島 五島列島にある憶念寺さまにお伺いして、「お寺にお役立ち講師派遣」の説明と、寺院の現状と活性化について、宗祖親鸞聖人のご命日逮夜・日中法要のあと、寺族(住職・坊守・前坊守・高校生と小学生の若院さん)、ご門徒とともに車座になってお話ししました。

【2018年1月27日9時30分 天候 晴れ 気温3℃  五島列島へ出航】

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長崎は数日ぶりの晴れだとか。

しんらん交流館の企画調整局から寺院活性化支援室職員1名・取材1名、長崎教区駐在教導1名の合計3名で、高速船シープリンセスでいざ五島へ。

晴れているので、船から長崎港にある女神大橋や、岸壁がよーく見えます。船にあまり乗ることがないので、何もかもが新鮮。船の窓ガラスがステンドグラスのようになっていて綺麗。

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支援室は駐在から長崎教区のことをレクチャー受けながら向かいました。

さて、船酔いせずにたどり着けるのか??

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【11時30分 (新上五島町有川郷)に上陸】

船酔い1名、酔い止め飲んで大丈夫1名、船の奥の仮眠部屋で寝て元気な人1名で到着!!

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港からお寺まで徒歩で行ける距離であったため、「街の様子も見ながらお伺いします。」と連絡しておりましたが、「迷ったらいかんので。」とお迎えに来てくださいました。

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(憶念寺のある五島列島ってどんなとこ?)

【お寺で打ち合わせ】

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改めて、住職・坊守・前坊守さまに寺院活性化支援室について、その中の過疎・過密地域寺院支援担当について、本日の流れについてご説明させていただきました。その中でいただいた主なお話は以下のとおり。

「人口はやっぱり、減っていく。大学。専門学校に行きたい人は、間違いなく本土に出ていく。昔は高卒でも仕事あったもんね。今だと、中学校から本土にいく子もいる。」

「この辺でも、生活にはそんな困らない。スーパーもある、ドラッグスストアもある。無いものでもインターネットで頼めば届けてくれる。でもね、ちょっとそこに行きたいと思っても船に乗らないと行けない。8人乗りの飛行機が上五島空港から飛んでたけど、もう閉鎖になったしね。海があれれば船が出ないこともある。そして、本山にお参り・団体参拝・奉仕団したいけどお金もかなりかかるからなかなかできない。年金暮らしのおじいちゃん・おばあちゃんが多いしね。そういった事情もあるけど、今年はご門徒と佐世保別院と長崎市内にある長崎教会に団体参拝を計画している。」

「五島に憶念寺も含めて大谷派の寺院は2カ寺ある。本土みたいにまわりに大谷派の寺院が無いから、憶念寺はこうして行なっているが、これでよかったのかなと思うことがある。仏花の立て方なんかも前からの姿は分かるけど、横から見たらどうなっているのか、どうお花が挿してあるのかよく分からない。あまり花材も売ってないし。」

しんらん交流館ホームページ内に仏花の立て方のページありますよとレクチャー

しんらん交流館ホームページ内に仏花をご門徒が立てている記事もありますよとレクチャー

「組や教区の活動にはできる限り出るようにしている。」

「しかし、遠くからのご門徒もよう参ってくださると思う。そんなにたくさんのご門徒がいるわけではないんだけどね。」

etc…

【12時30分 鯨で栄えた街・有川

“地のものを!”ということで、お昼は五島うどん。

五島うどんは麺を延ばす時に椿油が用いられています。このおかげで、香りが良くのびづらい特徴があります。つけ汁はあご(トビウオ)だしです。椿もトビウオも五島を代表する名産品です。

名産品と言えば、この地はかつて捕鯨で有名だったところ。有川港ターミナルの中にはクジラの博物館”鯨賓館ミュージアム”があり、ターミナルの建物自体が鯨をモチーフに作られていました。

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その他にも、鯨を発見し狼煙をあげた”鯨見山”、鯨のあご骨を利用した鳥居がある”海童神社”、ちょっと離れたところにご門徒宅が30軒ほどある小河原郷という集落があるということで、ご住職の運転で周辺を案内していただきながら、行政での地域の取り組み、ご住職自身が行政の地域振興の取り組みの会議に入られていること、市町村の平成の大合併で官公庁の機関が統合されたりする中で働き口が少なくなってきたこと、野球をするにも子どもが少なくてチームを組むことが難しくなっていくこと、自分は憶念寺の4代目住職で、憶念寺の寺号の由来は大分からきているということをお聞きしました。

この有川の地から少し行くと、

西日本唯一の石造りの教会”頭ケ島天主堂”

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遠浅で白い砂浜とエメラルド色で、海水浴場100選にも選ばれた”蛤浜海水浴場”

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“新上五島空港跡地”

坂本龍馬の同志たちが乗った帆船ワイフ・ウエフ号が遭難した潮合崎を見つめ、祈る龍馬像がある”龍馬ゆかりの広場”があり、

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そこからは離島寺院のある平島(浄専寺)が見え、その先には江ノ島(善行寺)があります。

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【19時30分 宗祖親鸞聖人ご命日逮夜】

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喚鐘の音が鳴り響き、讃歌「みほとけは」が坊守さまの合掌に合わせて1番から3番まで一緒に歌われます。

そして出仕、正信偈をお勤めし、御文

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【20時 寺院活性化支援室とお寺でお役立ち講師派遣の説明の始まり】

先代のご住職から続けられている”今年の和讃”一緒に朗読

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いつもは住職のご法話・座談会のところを、「お寺でお役立ち講師派遣について」・座談会に変更して行われました。

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資料をお配りして、”寺院の活性化”、”寺院活性化支援室”、”お寺でお役立ち講師派遣の概要”、”派遣までの流れ”、”例えばの事業”、”元気なお寺づくり講座”、”おまけの長崎県の統計ランキング”

を説明さえていただき、車座になっての座談会です。

※ 長崎はカステラ消費量第1位 6,268円(1世帯あたり)

→それは分かる気がします。

※ 葬儀関係費用(葬儀経費総額/全世帯)第7位 24,364円(1世帯あたり)

※ 信仰祭祀費(賽銭、お守り、会費、墓地管理費)第2位 30,941円(1世帯あたり)

→長崎は信仰に篤いと言えるのではないでしょうか。

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【20時18分 座談会の始まり】

ご住職も資料を用意し、配布されました。

「長崎県人口動態推計表」

2010年の人口と、2040年の推計人口を表しています。

長崎県 1,426,779人→1,048,728(26.5%減)

新上五島町 22,074人→10,374人(53%減)

その他離島は軒並み30%から60%近く人口減少するというものでした。「わー!島はやっぱり減る。」と思わず声を出される方もいました。

ここからは、座談で出た生の声を掲載します。

「報恩講や法要はお堂いっぱいにお参りがある。規模の大きい寺院でも、お参りがわずかしかないというところもある中で、みんなよう参ってくださる。」

「毎月のお参りとして、

13日 お祥月法座・・・各家亡き方の祥月のお参りを寺院で行う9時30分〜

14日 同朋会のつどい・・・19時30分〜

27日 宗祖聖人お逮夜法座・・・19時30分〜

28日 ご命日の法座・・・9時30分〜

を行なっているが、参る人が決まっている。でも、ありがたいことがあって、夜道は暗くて危ないし、最近ではイノシシがいっぱい出るからと、住職さんが車で家まで送ってくれるんだわ。これはありがたい。こうしておくれるから、また、毎月こんばと思っております。」

「27日は私の誕生日だから忘れない。」

「昔は楽しみが無かったから、お寺に来てお話聞かせてもらって、おしゃべりしてとやってたと思う。」

「私はもう、こうやって毎月お参りに来るのが”クセ”、クセになっとる。もう身体がそういうカレンダーになっとる。一回来ないとカレンダーが狂う。」

「なんか、綺麗に荘厳された本堂で仏さまに手を合わせると落ち着くんです。心が落ち着く。昔から親が仏さん・神さんを大事にしなさいと信心深い家だったからかもしれん。ちっちゃい頃からお参りしとります。」

「小河原郷という憶念寺さんからちょっと離れたところに住んでますが、お参りに来てくださると「お寺さんが来たよー」と家族揃ってお参りしたものです。」

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「私の小さい頃は、憶念寺さんで土曜学校・日曜学校をしていました。憶念寺の真横に浄土宗のお寺もあるけど、宗派に関係なく子どもはみんな来てました。浄土宗のお寺ではボーイスカウトしてたと思います。」

「昭和56年まで子ども会をやっていたけど、本堂の建て替えが入ったので一旦子ども会を解散しました。建て替え後、また声かけたけど、今度は子どもがなかなか集まらなくなってそのままやめてしまった。」

「子どもも今じゃなかなか塾だの忙しい。」

「市町村合併で官公庁がなくなって、仕事がない。電力会社もなくなった。」

「高卒でみんな本土に出ていく。」

「石油の備蓄基地ができたのはよかった。補助金がおりる。」

「減反政策で農業❌、捕鯨禁止で漁業❌、靴下を作る工場なんかも以前できたけど、結局運賃が思ってた以上にかかるということで撤退してしまった。」

「過疎になる条件が整いすぎている。」

「今は観光に力入れていて、簡易の宿泊所なんかもできて来ている。教会群で世界遺産に認定されたらもっと盛り上がってたかもしれん。」

「本当に観光になる、リゾート地になるには年間平均気温25℃らしい。上五島は風が強い。空港も閉鎖になっとる。」

「離島は消費税タダに!!。」

「結婚祝い、新築・リフォームの補助金、保育料の2人目3人目減額、色々町もやってるけど、住む魅力がないとね。」

「景気のいい時は、長崎・佐世保に一泊旅行してた。もうそりゃあ着飾って、もう長崎や佐世保の人の服装にホレボレした。結婚式にお呼ばれして東京なんか行くと、着飾りすぎとるもんだから私たちチンドン屋みたいだった笑。」

「私(住職)も町のこれからをどうするのか考える会議に入っていて、何度か発言したことがあるのですが。空き家が多くなってきてますよね。東日本大震災・熊本の震災、被災者を受け入れたらどうかと提案したことがあるのですが、特に何も動きませんでしたね。色々あるんだと思いますけど。動いていく、発想を転換しないといけないですよ。あ、この場は真宗の教えを伝える場、教えを相続していくための教化支援について話す座談会なんですけど、ついつい町の過疎化の話になってしまう。」

「いや!町の問題がお寺と門徒の問題そのものですよ!」

「お仏壇、お仏壇、これからどうなっていくかと思う。昔から、親から継いだものだから。」

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「若手は60代、70代は普通。前坊守さんも70代だから普通。」

「鯨捕りで6〜7年働けば家が建つと言われた。東京の私大にも行かせられた。捕鯨船に乗らない男は男じゃない!とも言われた笑。」

「真宗の教えを伝えるためには”福山雅治”が住職になればいい笑。若院さんたちアイドルにならんば!笑」

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「冗談は置いといて、ちょっと広げて、ちょっと広げてと少しずつ声かけしていろんな方に来てもらえるようにせんば続いていかんね。遠いとこから来たら、ここのお寺さんは車で送ってくれるよって言ってね。足があるよってね。」

「お寺さんはきっちりしとられる。丁寧にお勤めされとるし、お仏壇のことも教えてくださる。」

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「私(住職)は以前、長崎教会の法務の担当してました。座る席は長崎教務所内にあるので、法務だけじゃなく教務所の仕事も一部してました。長崎教会は日曜定例という法座があって、教務所員含めてお勤めの後、30分程度法話をしてました。日によっては1人だけのお参りの日もありました。その方からお参り一人だけだから法話はよかよと言われたので、法話をしませんでした。それでお堂を後にしたところ、当時の教会主幹者から、一人でも法話をしなければいかん。例えお参りが無かったとしても、畳の目に向かって話しなさいと言われたことがあります。ちょっと話がずれるかもしれませんが、離島だからできてなくてもしょうがないとも言われたくないので、丁寧にしたいと思ってます。」

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「私は仕事の先輩に誘われてお参りに来たのがきっかけだった。定年までは一切興味がなかった。本当に最初の頃はお勤めが苦痛で苦痛で、何を言っとるのかさっぱし分からんし、退屈だったとさね。でも、何回も来てるうちに慣れてきた。そして通うたびになんだかここが好きになってきたとさね。今は、分からん言葉はどういう意味があるのか、何を言おうとしているのか理解したくなって調べたりするようになったとさ。

「もうお寺にくることが”クセ”になったとばい笑。」

「あと、ここの若院さんがトレーニングで走って、小河原郷までたまにくるとさ。もう、本当突然。で、近くまで来たしお参りさせてと言うとさ。お参りしてくれるのは本当嬉しいとさね。でも、いつ来るか分からんから。だから、そのせいでいつもお内仏を綺麗にしとかんばと思うとさね笑。」

「この子たちはちっちゃい頃から100以上の目でご門徒さんに見られ、育てられている。私(住職)も見られ育てられているし、子どもから見られている。

話はつきませんが、もう22時、いつもより1時間オーバーです。

【22時 遅くなってしまいました。本日は終了】

合掌、合掌のまま恩徳讃斉唱

話もつきませんが、22時で終了いたしました。法座では、教えの話・家での話・できごとなどがいつもしている話だとのこと、“これをやろう!!”とやることが決まったわけではないけど、お寺の将来についてざっくばらんに話したことは今まであまりなかったそうでした。本堂から出てからもまだまだ話しているご門徒もちらほら。

【2018年1月28日9時30分 宗祖親鸞聖人ご命日】

お勤め

【10時 寺院活性化支援室とお寺でお役立ち講師派遣の説明】

昨日に引き続き、「お寺でお役立ち講師派遣」の説明をして座談会。その中では、

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・丁寧に言い続けることによって、法名に慣習でつけられていた信士・信女、清め塩、お仏壇の中がごちゃごちゃしている(お供えし過ぎてくだものやさんみたいなお家がある)のが変わってきた。し続けることが大事である。

・お寺に関わったことのない人にとっては、お寺で何しとるのか分からない。パッと分かる冊子があるといい。

・仕事がない、人口減、結婚できないがつながっている。

・お参りは家庭訪問、顔合わすことが大事。

・”クセ”を作る

・お葬式の時だけ騒いでもと思う。

・お葬式という”場”だからこそ日頃入っていかない話が入っていきやすい。

・長崎教会や佐世保別院にお参りする、他のお寺にもお参りする、他との交流で憶念寺のことを改めて発見することもあると思う。

・資料の青少幼年教化の部分にぐるぐるぐるっとマルをつける方あり。

「私(住職)は、修復で割り当てがある時、護持金の値上げする時、ご門徒のみなさん”はい、分かった”と言ってくださる。大変ありがたいことだと思っています。みんながみんな”はい”って言ってくださるもんだから、本当にこれでよかったんだろうかと思うこともあるんですよ。」

※変なこと言ってたら言っとるばいとの声あり

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【11時15分 15分オーバーで終了です】

恩徳讃斉唱、どの方も非常に大きな声!!

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いつもの11時より少し時間をオーバーして終了しました。

「いろいろ話せてよかった。ご門徒、住職、坊守、前坊守、長男、次男そろって話すことができた。でも、これって何か出たわけではない。こんな感じでよかったんだろうか。」

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「今後、お寺がどうなっていくか分からない。人はだんだん減っていくのは避けられない。お寺が人を増やすことはできない。子どもには言ってるんだ。やりたいことをやればいい、無理にお寺を継がなくてもいい、継ぎなさいとは言わないと。でも、あれもダメこれもダメ、何にもやりたくないからお寺をするというのはダメだと。やるからにはキチンとやらんばと。」

ご住職から率直な感想をいただきました。

過疎・過密地域の寺院支援。たくさんの教団に支援員が生まれています。しかし、”これ”をすれば間違いないという支援方法は見つかっていません。

このたびの2日間では、日常の話、お念仏の話、お寺の将来に対する不安や思いをざっくばらんにお話いただきました。みなさん人ごとではなく自分のこととして。

こんなことの積み重ねから、「私たちにとってのお寺の必要性」、「知ってもらいたいお寺の魅力」、「お寺でできたらいいこと、やりたいこと」が改めて見出せるのかもしれません。

過疎・過密地域寺院支援担当は、現場に足を運び、声を聞いていきます。

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