「お寺の今とこれから ワークショップ」開催!
京都教区近江第2組坊守会研修会

 

■坊守会の研修にワークショップを

7月27日(金)午後、滋賀県栗東市井上の三因寺を会場に、近江第2組坊守会研修会が開かれました。テーマは「お寺の今とこれから~一緒に考えてみませんか?~」。

例年、坊守会では午前中は総会、午後は法話を聴聞されていましたが、どうしても受け身になり、また、座談会をしても意見が出にくいという課題がありました。そこで、今年は若い方も話しやすい雰囲気をつくりたいと、ワークショップを取り入れることにしました。

当日は30代から80代の組内の坊守さん方16名が参加。講師(コーディネーター)には、企画調整局から保木悦雄参事が出向しました。

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まず最初は「自己紹介ワーク」。場を和ませるためのアイスブレイクです。

自己紹介が堅苦しくならないように、まずグループを3つに分け、そして、付箋に4つの項目を書いて、それをA4用紙にはって、各グループのメンバーに見せながら自己紹介しました。

 

【自己紹介の4つの項目】

①名前・寺院名

②自分を色に譬(たと)えると何色?

③最近はまっていること(興味関心のあること)

④お寺の生活で感じていること

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■統計資料を読み解く

次に、「お寺を取り巻く環境と受け手の変化を見てみよう」ということで、お寺に関する統計資料を読み解きました。

中でも、注目すべきデータは、お寺とご門徒との関係について、滋賀県からの転居は京阪神が多いが、その「近距離の転居」であっても、お寺のご縁が途切れる大きな要因になること。また、20代・30代の若い世代では、「人生は苦である」・「死んだら霊魂が死後の世界に行く、生まれ変わる」という意見が多く、宗教的関心が高いということです。

しかし一方で、浄土真宗の言葉の認知度については、「報恩講」では名前も内容も知らない人が56%、「正信偈」では73%という厳しい結果もデータから明らかになっています。

つまりお寺にとって大切なことは、転居されたご門徒さんとのご縁を丁寧に繋ぐということ、そして、次世代の若い方々の思いをくみ取り、教えを分かりやすく伝えるということ。さらに、湖南地域は就労世代も高齢者も、今後人口が増える見込みで、新たな定住者とのご縁づくりと、地域社会でお寺が高齢者に寄り添う場として機能することが期待されている、ということでした。

 

■いよいよワークショップの時間

休憩の後、いよいよワークショップ。その名も「三方よし」です。

「三方よし」とは、「売り手よし」・「買い手よし」・「世間よし」の3つの「良し」のこと。売り手と買い手が共に満足し、また社会(世間)に貢献もできるのがよい商売であるという近江商人の心得のことです。

⇒これをお寺という環境での言葉に当てはめてみると・・・

①お寺や坊守さんが伝えたいこと・やりたいこと
②ご門徒さんや次世代のご門徒さんがお寺に求めていること
③地域社会や一般の方がお寺に求めていること

20180727 京都教区近江第2組坊守会研修会スライド(確定版)
※講師による当日のスライドより

この3つについて、付箋に思いを書き出し、模造紙に張り付けて意見を出し、話し合ってみましょうというワークショップです。

このワークショップの大事なポイントは、「受け手目線に立つ」ということ。「お寺を求めているのは誰ですか?」、「その方々はお寺に何を求めておられるのですか?」ということを意識して考えてみるということです。

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最初はちょっと戸惑いもあったようですですが、徐々に意見が出てきました。

主な意見としては・・・

①お寺や坊守さんが伝えたいこと・やりたいこと

・お寺に親しみをもって、足を運んでほしい

・聞法会に来てほしい、聴聞の大切さを知ってほしい

・子ども会・日曜学校に少しでも多くの子どもさんに参加してほしい

・子ども食堂

・お年寄りの憩いの場、心の休まる場にしたい

・地域のコミュニティー作り

②ご門徒さんや次世代のご門徒さんがお寺に求めていること

・法話や講演、お寺に集まりやすい聞法会

・楽しい場にしてほしい

・月参りの時の話し相手

・説教は短く、長い法話はイヤ

・住職はもっと法話の勉強をしてほしい

・先祖の供養

③地域社会や一般の方がお寺に求めていること

・親しみやすさ

・気軽に寄り合える寺にしてほしい

・地域の指導者

やはり、①のお寺・坊守さんの思いは多く意見が出されましたが、③の地域社会・一般の方の思いということがなかなか思いつかず、難しかったようです。

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その中でも三者の思いが重なるところには、「お寺は親しみやすく、気軽に行ける楽しい場であってほしい」、そこから、「高齢の方にもやさしい地域のコミュニティーの場であってほしい」ということが見出されてきました。

 

■ワークショップの終わりに

最後に、まとめとして、講師からの提言がありました。「お寺って何のためにあるのでしょうか?お寺を取り巻く社会はどう変化していますか?お寺の目に見えない魅力とは? これからどんなお寺にしたい?そのためにはどんなことをしたい?このような“お寺の未来”について、住職さん、門徒さん、地域の方々と本音で話し合ってみませんか?」と。

坊守会長の木村順子さんは「ワークショップの体験は初めての方が多かったのですが、みなさん積極的に参加してくれて嬉しいです!みんなで意見を出し合えたので、途中も眠たくなりませんでした。若い方も、ご年配の方も一緒に自分のお寺のことを考えるいい機会になりました!」と喜んでおられました。

蓮如上人は「寄合談合せよ」と、語り合いの重要さを説いておられます。

様々な意見が出し合えるワークショップは、現代版の寄合談合なのかも知れません。皆さんも、是非、お寺の未来についてワークショップしてみませんか?

(おしまい)

ワークショップのご相談は、企画調整局まで ☎075-371-9208