全体講演1会場:松下講堂黎明館
全体講演1 会場:松下講堂黎明館

 

8月21日から3日間、和歌山県高野山の高野山大学において「第50回高野山夏季講座2019 部落解放・人権夏季講座」が開催され、解放運動推進本部から4名、教学研究所から3名が参加しています。会場には1500名を超える参加者が訪れ、部落差別をはじめとしたさまざまな差別と人権問題について学びを深めています。

 

初日の21日は、全体講演として2つの会場に分かれ、4つの全体講演が行われました。

松下講堂黎明館で開催された全体講演1では、独立行政法人 労働政策研究・研修機構 労使関係部門 副主任研究員内藤 忍さんから「パワハラ防止策の法制化と課題」と題した講演がありました。また、名城大学法学部教授の近藤敦さんは、「外国人労働者受け入れと多文化共生社会の実現に向けて」というテーマで講演されました。

 

内藤忍さんの講演では、今年の国会において、ハラスメントに関する法改正がなされ、中でも事業主のパワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務が新設されたことをうけ、ハラスメント防止の動きが被害報告を受けてから対応されるものではなく、事業主から従業員らの声を聞き、具体的かつ実効性のある予防・解決にとりくむことが求められていることが確認されました。

 

講演には1000人を超える参加があり、身近な課題として、多くの方が関心を寄せていました。

全体講演1 会場内部
全体講演1 会場内部

 

全体講演2 会場:高野山大学体育館
全体講演2 会場:高野山大学体育館

 

全体講演2の会場 高野山大学体育館では「部落差別解消推進法を学ぶ」をテーマに、奥田均さん(近畿大学人権問題研究所特任教授)、「西光万吉さんから学ぶこと」をテーマに友永健三さん(部落解放・人権研究所名誉理事)が講演されました。

 

奥田均さんの講演では、被差別部落を改善して差別をなくすのでなく、社会そのものを変えて差別をなくそうという方向性が、あらゆる差別をなくしていくことに通じることなどが示されました。人間の営みによってつくられたものだから、人間の営みによってなくすことができるといったことをはじめ、差別を必要としない社会の実現に向け、重い課題が投げかけられました。

 

友永健三さんは、全国水平社創立メンバーの一人である西光万吉が、戦後の国際平和を願う中で、戦地や貧困地域に非武装集団「和栄隊」を派遣する構想を持っていた事などを紹介。改憲論議がなされる中で一人ひとりの意識が問われる講演となりました。

 

宿泊所は高野山高室院。参加者と共に夕食を囲み、差別問題について語り合いました。

宿坊の高室院
宿坊の高室院

 

高野山宿坊の夕食です。
高野山宿坊の夕食です。