根子岳

 

根子岳 (ねこだけ)」 森繁美 (もりしげみ)
2002年 油彩・キャンバス 38.0×45.5cm
表紙の絵は、熊本にある国立ハンセン病療養所菊池恵楓園の絵画クラブ「金陽会」のメンバーの森繁美さんが描かれたものです。火の国熊本のシンボルである阿蘇山は、根子岳、高岳、中岳、杵島岳、烏帽子岳の阿蘇五岳が一列に並び、特に阿蘇谷のほうから望むその姿は涅槃像とも呼ばれ親しまれています。その中でも容姿が個性的な根子岳は特に好まれたようで、山を描くことが多かった森繁美さんも根子岳を描いた作品を数点残されています。金陽会代表の吉山安彦さんが根子岳のスケッチに森さんを誘ったところ、その場ではスケッチすることもなくあちこち散策されていたらしく、「描かんのか?」という吉山さんに、頭の中に入れていると言わんばかりに「ここ、ここ」と自分の頭を指差されていたそう。その後アトリエで描かれたこの「根子岳」を見せられたとき、吉山さんは言葉を失い、森さんは傍らで誇らしそうに笑っていたそうです。「かなわんかったですよ」と語る吉山さんもなぜか嬉しそうな、そんな「根子岳」です。

文:藏座江美さん(一般社団法人ヒューマンライツふくおか理事)