本堂で座談会
本堂で座談会

仙台教区の親鸞教室のはじまり
親鸞教室は仙台教区で1986年に始まりました。年間2カ寺を指定して月1回計12回研修の場を開いています。目的はそのお寺で同朋会を生み出していくこと。かつては推進員養成講座として取り組まれた時期もあり後期教習(上山奉仕)を行っていましたが、現在は教区独自の事業として進められています。2014年現在教区内59カ寺で開催されました。
現場運営の中心となるのは教区駐在教導と教区のスタッフ。教室終了後には住職がそのノウハウを得て、お寺で同朋会を始めていくことを願いとしています。同朋会の準備を教区がサポートするという形です。現在は、教区教化委員会の中の7人で組織する研修部が同朋会のない寺院から指定しています。寺院からの立候補があれば優先的に取り上げることもあります。

 

会の運営
指定が決まれば、研修部が指定寺院の住職や総代と協議をし、年間の日程やテーマ、講師等を決定します。スタッフも研修部で選び依頼。同じ組内からスタッフを選出し、今後のかかわりをつくっていくということを原則としているのです。
教区からの助成はスタッフの派遣にかかる日当・旅費と講師礼。寺院は門徒への呼びかけと名簿の作成、そして当日の会場の準備をします。
スタッフは2~3人一組。駐在教導はあくまでもコーディネーターとしての裏方に徹し、受付や全体の進行、勤行、座談の司会等はすべてスタッフが各回ごとに役割を分担します。こうすることで、スタッフが主体的にかかわり、将来的に教化事業の運営に関する人材の育成になり、同時に駐在教導にも負担がかからないのです。
今回は、現在開催中の仙台組専福寺(宮城県登米市)と相馬親鸞教室(会場は福島県相馬市の浜組正西寺)、そして昨年開催し現在は同朋の会を行っている仙台組海楽寺(仙台市)に伺いました。

 

専福寺の親鸞教室
2014年1月から始まった仙台組の専福寺の親鸞教室は、それまで儀式が中心だった寺のあり方を現住職の青嶋明義さんが「門徒さんと語り合う道場に回復したい」と感じ、その時に教区からの呼びかけに応じることになりました。
年間のテーマは「真宗ってなあに?」。身近な日常をテーマに。サブテーマをスタッフ、駐在教導、講師、そして住職とで話し合って決めています。講師は花巻組碧祥寺住職の太田宣承さん。「私の願いと仏様の願い」「自力?他力?本当の願いとは」「お盆をお迎えするにあたり…」「仏恩報謝~感謝の気持ちと慈悲の心~」といったサブテーマで講師の法話と座談が行われています。

 

内容の工夫
また「登米の葬儀事情と真宗の仏事」という回ではスタッフの寸劇を行ったり、福島第一原発事故を受けて「1000年後の未来へ~3.11保健師たちの証言~」というテーマで保健師の映画とその映画監督を招いた会があったり、各家庭でのお内仏の作法を学んだりと様々な工夫も。寸劇をしたときは、スタッフだけではなく総代や門徒も出演し、事前の練習も行ったそうです。専福寺のある登米市には真宗寺院は1カ寺しかなく、法話を聞くとか座談をするという風土もこれまであまりなかったといいます。年齢層は50代から80代。参加者は総勢50人ほどになるが、実際には毎月20~30人ほどの参加となるそうです。

取材におとずれたこの日は11回目。この日のテーマは「死を受け入れる~看取りケアの現場から~」。特別養護老人ホーム「光寿苑」に勤める太田さんの、さまざまな家族の看取りの姿を見てきた経験が紹介されました。誰もがそれぞれの経験を通じて「生きる」ということを考えています。3つのグループに分かれた座談会ではスタッフが促すとそれぞれの思いが語られていきます。「毎回異なったテーマで話を聞いたり、映画を見ることができた。そして何よりも門徒さんたちとざっくばらんに語り合いができた。みんな話しをするのが大好きだけど、こういう大事なテーマを語り合うことはなかなかできない。お寺でこういうことができたのは大きな一歩」と住職。次回で親鸞教室は最後となりますが、今後は同朋会を定期的にやっていきたいと住職は考えています。

勤行の練習
勤行の練習
専福寺本堂
専福寺本堂