福井同朋大会①

2016年度福井教区同朋大会

さる5月13日(土)、2016年度福井教区同朋大会が、福井別院を会場に開催されました。

教区同朋大会が開かれるのは3年に1度。
その機会を生かすべく、従来の同朋大会とは異なる、参加者全員でワークショップを行うという企画が立てられました。

 

きっかけは、「お寺のお参りが減っている」「若い人のお参りがない」という教区が抱える問題の解決に向け、従前の方法を精査してみようという意見が出されたことです。門徒・僧侶ともに机を囲み、「自分たちは今、どのような場所を求めているのか」ということについて語り合うための場を想定し、同朋大会実行委員会も事前に何度も研修会を重ねられてきました(※過去記事参照)。また、実施計画書も、実行委員会がvol.1からvol.6まで作成し、教区内にその趣旨と内容、手順などを丁寧に周知してきました。

 

その結果、当日は、「寄り合い・談合の場の恢復(かいふく)を願って」というテーマのもと、初めての試みにも関わらず183名が参加。なんと29班編成という大規模なワークショップになっていました。

福井教区同朋大会・受付も事前準備によりスムーズに

福井教区同朋大会・福井教区教化委員長による挨拶

福井教区同朋大会・広い堂内にスタッフ含め200人程が集まる

教区教化委員長は挨拶で、お寺の未来をお同行とともに語り合い、展望をひらくためのワークショップの場が、この同朋大会を起点に、2017年度からはいよいよ各お寺で展開するようにという今大会に込められた願いについて語られました。

 

福井教区同朋大会・「お寺の未来」代表理事である井出悦郎氏による基調講演
「最初からこんなに多くの門徒さんがたくさん参加されているのは初めてです。とても大切なことで熱気を感じました」と語る井出氏。
真宗門徒の土壌をデータで捉えなおす

ワークショップの前の基調講演の講師は、井出悦郎氏(お寺の未来代表理事)。「これからのお寺づくりを考える」の講題で、「寺院・僧侶に関する生活者の意識調査」でのデータをもとに、蓮如上人ゆかりの地である福井県の信仰についての現状を紹介。

 

 

福井県の葬儀、信仰、生活の現状がデータで紹介される。
福井県の葬儀、信仰、生活の現状がデータで紹介される。

すでに「お1人様(ひとりさま)」という表現が現実を表す言葉であり、「単身世帯、生涯無子率の増加という現代の状況において、血の相続前提としない寺院のあり方を考える必要が出てきている」という、従来の寺院のあり方では現実に対応できていないという情報が共有されました。

 

そのうえで、「お寺は誰にどのような価値を提供するためにあるのか」という使命や、参加者自身がお寺に求めることを掘り起こすことの重要性が、ワークショップを行う前に確認されました。

 

 

 

ワークショップで掘り起こされる意見

福井教区同朋大会・思わぬ意見に盛り上がるいよいよ始まったワークショップでは、事前の研修会で確認されてきたお寺に対する様々な「要望」や「問題点」をあらかじめ付箋に記入されたものが準備されていました。

 

その付箋を、各班で、「お寺で何ができるか?お寺で何をすべきか?」という視点から、机の中心に設置された大きな紙に貼付け、それぞれのお寺の状況を考えながら「重要度」と「すぐできるか否か」で仕分けていきます。班の中で意見を交わしながら付箋の位置を移動したり、要望をお互いに確認し合うことで、自分たちで書き加えた新たな付箋も足していきます。こうすることで、お寺に求められている企画、またはそのお寺に関わる人が実践してみたいと思う企画が、目に見える形になっていきます。

 

基調講演の中で井出氏は、「福井県人は社会的体面を重視する土地柄」というデータも紹介されていました。普段言いたくても言えなかったことを、「発言しても良い」と公に認められた環境をワークショップの場で設定することで、惜しみない意見交換が実現します。

福井教区同朋大会・目に見えるかたちで確認できるワークシート

福井教区同朋大会・ふせんを貼る場所に意見が飛び交う

福井教区同朋大会

福井教区同朋大会・ワークシート

 

寄り合い・語り合う場となった堂内

福井教区同朋大会・他班の報告に耳を傾けるこうした意見交換の末に出てきた各班からの報告には、「なるほど、、」「こういう企画もあるのか、、」と、真剣に耳を傾ける参加者の様子が伺えました。

福井教区同朋大会・門徒さんから井出氏に質問また、井出氏を交えて行われた最後の質疑応答の時間でも、それぞれのお寺の状況に沿った具体的な質問が次々と交わされ、今回の同朋大会が参加者にとって、まさに「語る場」となっていたことが表れていました。

 

 

大会当日の班別発表や質疑応答の内容、参加者のアンケート結果については、早速集計され、「福井教区同朋大会実施報告書vol.7(PDF)」に公開されています。冊子での閲覧を希望する場合も、真宗大谷派福井教務所(℡0776-21-4444)に問い合わせの上、送付してもらうことができます。

 

 

今回のワークショップを、「寄り合い・談合の場が恢復」するツールとして、1カ寺毎に活用して欲しいという願いを込めて開催された福井教区の同朋大会。「場」を創造することで、人々は語り合い、耳を傾けることができる、ということを教えてくれるひと時となりました。(終)

 

 

 


<福井教区同朋大会の工夫>

福井教区同朋大会・事前の研修等を重ねて当日を迎えた

福井教区同朋大会・A4版の見やすいしおり

福井教区同朋大会・堂内に複数設置されたスクリーン

①なじみの薄いワークショップを、事前に何度も行い、実行委員がその仕組みを充分に理解している環境を整えている。

②しおりの表紙に自分の班が記載されており、資料は1冊にまとめられていた。

③会場内にはスクリーンが複数用意され、座席によって情報の共有にムラがでないように配慮されている。

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