お米を300kgほど提供していただきました
お米を300kgほど提供していただきました
貧困問題についての学び

山形教区青少年教化小委員会では、3回に渡り貧困問題に関する勉強会を行いました。

その内容は、①子どもの貧困に関する自主学習会、②初めて都道府県別の子どもの貧困率を明らかにされた山形大学の戸室健作准教授をお呼びしての公開講座、そして、③高山教区の四衢亮氏をお呼びし、真宗の目を通しての貧困についての公開講座です。

山形県には、山形県在住の人々だけではなく、東日本大震災後に山形県へ避難された被災者の方々が直面している貧困の問題があります。
自主避難者対象の住宅無償提供が2017年3月末で打ち切られ、それに伴い、避難指示区域外の避難者は、実費で家賃の支払いに奮闘するという現状に陥っているそうです。また、就職活動の面接においても、「いつ福島に帰るのか」と尋ねられたりと、安定した仕事に就くことが困難な現状もお聞きしました。

 

無事、引き渡しました
無事、引き渡しました
山形教区での活動

山形教区では、被災者への保養事業を行っています。それに関連して、教区内の寺院から米などの食品を提供していただくことがあります。

ある時、教区内の坊守さんを通して、避難者支援をしている「特定非営利活動法人やまがた絆の架け橋ネットワーク」から、「米の在庫はないか」という問い合わせが教務所にありました。このことがきっかけとなり、同団体に協力するという形で、教区としての貧困問題への取り組みが始まりました。

教区内各寺院に食品提供を呼びかけ、提供されたものを教務所に保管し、集まった食品を同団体を通して避難者にお届けするという方法で現在、活動しています。

 

「やまがた絆の架け橋ネットワーク」のスタッフの方に貧困についてのお話を伺いました

Q.集まった食品はどのように使われているのでしょうか。
提供された食品は、地域の社会福祉協議会の避難者生活相談員を通じて、困窮している家庭に配られたり、月に一度開催される「よるごはんの会」に使用されます。「よるごはんの会」では、避難者7家族ほどの親子が集まり、スタッフと夕食を共にします。

 

Q.「よるごはんの会」を始めたきっかけを教えてください。
子どもが大きくなっていく中で、食卓での会話が無く、「テレビがないと静かです」という家庭があったからです。大勢でご飯を食べる機会だったり、母親以外の味をたべる機会を増やしてあげたいという願いのもとで始まりました。また、交流会は日中の開催が多いのですが、仕事に就くことで地域の交流の場から離れてしまい、経済的自立の裏で進むコミュニティからの孤立が問題になってきました。そこで、夜だったら集まれるからということで「よるごはんの会」を始めました。1年くらい続いています。

Q.子どもたちの様子はどうですか?
親と子の部屋を分けて、子どもたちの部屋には若いお兄さん・お姉さんスタッフが混ざって食べています。子どもたちが親から離れて食べるという環境の中で、お兄さんやお姉さんから「野菜も食べなさい」とか「肉ばっかり食べ過ぎだよ」「食べ終わっていないのに席を立ってはだめ」といったようなやり取りがあります。家庭では見逃しがちになっているようなことも親以外の人とのやり取りで、マナーとして学んでほしいなと思っています。

Q.好評なところを教えてほしいです。
親御さんにとっても、「こういうことに困っている」であるとか、様々な情報交換ができる場になっています。また料理についても、例えば、年配のスタッフが作った料理で、教務所から頂いたお麩を水で戻して、卵を絡めて甘しょっぱく煮た料理などは、お母さん方に人気で「どうやって作るんですか」などとレシピを聞かれたりします。いわゆる、実家の味というか「おばあちゃんの味」を知る場になっていると思います。

Q.最近の貧困に関する状況などを教えてください。
今までは、単身のご高齢の方や、母子家庭などが多かったのですが、ここ1年くらい、母子だけで避難されている方の情報が増えてきました。仕事に就いても、パートくらいでは給料のほとんどが家賃に消えてしまうという状況です。もしかしたら、夏に生活が立ち行かなくなり、急遽、福島へ戻る方も出てくるのかなと予想しています。本当は、皆さんが納得した形で戻れるのがいいなと思っています。

 

集まった食品の数々
山形教務所に集まった食品の数々
まずはできることから始める〜支援団体への協力〜

子ども食堂が徐々に増えつつある昨今、自分のお寺でも開設しようと思われる方が多いかもしれません。始めるにあたっては、資金、スタッフの確保、食中毒対策、広報の方法など、たくさんの準備が必要で、すべてを自分たちのところで抱えて始めるのは難しいように思います。

しかし、そういった事業の目的はあくまで支援であるということを考えれば、まずはできる支援から始めるべきなのではないでしょうか。支援団体に協力すると言う形で、支援するということも、第一歩なのではないかと思います。

「やまがた絆の架け橋ネットワーク」のスタッフの方とお話をした際に、さまざまな保養事業で起きている問題の事もお話していただきました。支援団体の方々の持っている情報は多く、また、ノウハウも沢山持っていらっしゃいます。そのご縁の中で、問題を考え、お寺でできそうな事を、地域の人々と関わり合う中で少しずつ行えばいいのではないかと思いました。

(山形教区通信員 榊 法盡)
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