蓮心寺お寺de自由研究

東北の短い夏休み

青森市の市街地にある蓮心寺。「ねぶたを終えると秋風が吹く」と言われるこの地の夏休みは短く、今年は8月24日から始業式。短い夏休みでも、宿題の量は変わりません。とくに自由研究は、テーマ探しから仕上げまで時間がかかるため、悩みの種になる家庭が多いそうです。

そこで、蓮心寺では、お寺にまつわる内容を自由研究の素材として提供できないかという発想のもと、親子で参加できるイベントを開催するに至りました。その名も「お寺de自由研究」。今回は、その試みの様子を、子ども会開催の一助となるようお伝えしていきます。

 

学習支援の場としてお寺を開く

主催は企画調整局の本間義敦参事預かる蓮心寺。企画調整局では、人口が減少していくという現状を踏まえ、教勢調査の結果に基づきながら地域におけるお寺の役割について見直すという取組みを行っています。

本間参事はその具体的な取り組みの一例として、地域に根付いてきたお寺の役割に、子どもが安心して集い、学ぶことのできる場を加えることを企画。アプローチの視点は、学習支援。貧困により学習の機会に差があることに着目します。経済的な理由で思い切り学ぶことができない、そんな現状にお寺ができることを考えました。

蓮心寺お寺de自由研究

蓮心寺お寺de自由研究

蓮心寺お寺de自由研究

 

本間参事作成のウォークラリーによる境内地図。模造紙を使うことで、自由研究の雰囲気に仕上がる。
本間参事作成のウォークラリーによる境内地図。模造紙を使うことで、自由研究の雰囲気に仕上がる。
お寺には自由研究の素材が充実

定期開催を目指す子ども会の試みではありますが、まずはご門徒への告知の期間のタイミング、初の開催ということもあり、夏休みの特別企画としての開催になりました。

家族の就業状況によって自由研究に楽しく取り組めないという子どもたちも集まり、大勢で宿題に取り組むことができる場になれば、という願いもあります。

何より、寺院には建立から現在に至るまで、様々な歴史やエピソードが存在しています。本間参事はこうしたお寺の情報量に注目し、それをウォークラリーで周ることで、子どもにとって楽しい自由研究になると確信。地図や各エピソードにちなんだ穴埋めシートを用意し、実際に自分でコースを散策。住職・坊守・若坊守と協力し、当日の散策コースを決めていきました。

内容は、お寺の歴史、親鸞聖人、七高僧、ご本尊、お斎など、お寺では馴染み深い項目を取り上げ、どのお寺でも使える項目になっています。

実際に参加した子どもたちも、今まで入ることのなかった広い境内や本堂、さらに初めての鐘撞き体験など、息が切れるほど散策に没頭していました。

今回使用したタイムスケジュールや穴埋めシートなどは、今後、子ども会や同朋の会でご活用いただける教材として、別編にて紹介していきます。

お寺には、学ぶ素材がたくさん詰まっています。

蓮心寺お寺de自由研究

 

 

お斎が毎月作られていることや、精進料理だけで献立に困らないのかなど、疑問は尽きません。
お斎が毎月作られていることや、精進料理だけで献立に困らないのかなど、疑問は尽きません。
世代をつなぐ場になる

ウォークラリーでは、お寺の世話方として尽力されてきた方々と、若い世代がつながる場になったということに注目できました。

参加されたご家族は、おばあさんはお寺によく足を運ぶそうですが、自分たちだけで訪れるのは初めてとのこと。「お斎」という言葉も耳にするのは初めてです。

蓮心寺を支える世話方である、齊藤さん、窪田さん、野嵜さん。この日は、受付とお斎づくり、その他、お斎やお寺との関わりについて答える役として参加されました。

蓮心寺では、毎月同朋の会が開かれ、その会では門徒さんが構成するお斎班によって精進料理が振る舞われていること、この日に使っている野菜は、齊藤さんが育てたものを使っていることなどがインタビューを通して伝えられました。

お寺はどういう人が集まって何が行われている場であるかということが、ウォークラリーを通して次の世代に伝えられている様子が伺えました。

蓮心寺お寺de自由研究
インタビューしたお斎のカレー。「毎月のお斎も食べに来てね♪」と楽しい食事に。
蓮心寺お寺de自由研究
ウォークラリーでお斎場へ。手伝うようになったきっかけや、精進料理についてインタビューします。
今後の展望「寺子屋」として

先にも触れたとおり、今後は学習支援を行っているボランティア団体との協力を予定しているこの企画。しかし、実際に子どもの学習支援を行うには、充分なスタッフ数の確保、そして、そのスタッフ同士が共通認識を有していることが必要です。そのためには、開催地となる蓮心寺を含めたスタッフ同士の連携が必要になってきます。

企画調整局では、お寺を「学びの場」とするモデルケースとして、しんらん交流館TeraSchoolを開設し、福井別院や岡崎別院での開催にあたり情報提供を行ってきました。

今回の蓮心寺で行われた「夏休みの宿題を終える」という内容の企画は、岡崎別院を会場としたTeraSchoolでも行われたところです(※イベントの様子は2017年9月4日記事参照)。

地元密着型であること、学びの場としてのお寺の役割を強化していくことを目的としていることから、今後は、初の寺院でのTeraschool開催も視野に入れての情報共有が見込まれます。

地元のボランティア団体との連携、そして開催に向けての課題との向き合い方について。持続可能な支援を形にしていく様子、そして、本間参事による子ども会開催までに必要であった取り組みや、苦労した点を綴った記事も紹介していきます。学習支援を検討されている方、ぜひ、引き続き「蓮心寺 お寺de自由研究」の記事をご覧いただきたいと思います。


今後の掲載予定

・子ども会開催日記

・子ども会で使用した教材やアイデアの素材提供

・しんらん交流館Teraschoolとの連携