神奈川教化センターでは、昨年よりグリーフケアへの取り組みが行われています(2017年10月27日記事参照)。
教化センターではグリーフケアの基礎を学ぶ研修会が始まり、人間に突然起こりうる悲しみ悩み苦しみや喪失感をともに生きるその取り組みが真剣にしかも愉しく実施されている。当たり前のことだが「人は一人では生きていけない」人の生き様はそれぞれであるが、人の温もりを求めている存在であることは間違いなく、その事を実感させていただいている。
- 横浜別院だより「本願力」第71号(2018年5月1日発行) 巻頭言より
という坂田智亮輪番のお言葉にあるように、心の声に耳を傾け、人の温もりを感じあう関係を築いていくことを大切にされている神奈川教化センターでは、企画広報部による「グリーフケアの基礎を学ぶ研修会」が始まりました。その様子を横浜別院列座である家本久和さんが、横浜別院だより「本願力」第71号にレポートされています。グリーフケアの研修を受けたときの率直な感想を、ぜひご覧ください。

♣ グリーフケアの基礎を学ぶ研修会  「第一講 グリーフケアの基礎」  
グリーフケアの基礎を学ぶ研修会・横浜別院だより「本願力」第71号
ファシリテーター 尾角 光美 氏 / 水口 陽子 氏

3月8日、企画広報部主催の「グリーフケアの基礎を学ぶ研修会」が始まりました。連続3回の研修で、定員を越える24名の参加者と共に学びます。

 

さて、研修内容については、一般社団法人リヴオンに依頼し、講師の尾角さんと水口さんのお2人から交互にお話を聞く形となりました。まず始めに、参加者全員で大きな輪を作り、今の状態を色で表現し、自己紹介をすることになりました。「えっ、色で表現するの?」といったことは1度もしたことがない体験だったので、不思議な感覚になりました。

 

皆さんの話を聞いていると、色も濃い○○色から、薄い○○色、三原色の色など、それぞれが思い思いに、この研修会を受講する今の気持ちや状態をお話されました。

次に、私にとっての「MY GOAL」、つまり私が研修を通じて1番学びたいこと、得たいことは何ですか?という点をそれぞれ考えることになりました。

 

うーん、と悩みながら、「他人の感情にどのように寄り添えばよいのか?寄り添う姿勢を学びたい」と書いてみました。
寄り添うって簡単そうで、難しいことなんです。私にとっては「寄り添う」ことがイマイチ理解できないのです。

 

その後、尾角さんから「大切な人、ものなどを失うことによって生じるその人なりの自然な反応、感情、プロセス」、それが「グリーフ(悲嘆)」であると、お話しいただきました。なんか、大切な人を失った悲しみだけがグリーフのような気がしていましたが、そうじゃなかったんだと、深く頷きました。知らないことがいっぱいあります。

グリーフケアの基礎を学ぶ研修会・横浜別院だより「本願力」第71号

ワークの時間がまいりました。題して、「イロイロワーク」です。あなたが大切な人(もの、関係性、自分)を失ったときに生まれてくる感情をあげてみましょう、また、オノマトペ(擬音語、擬態語)などで表してみましょう。

 

「えっ、感情を擬音で表わす?それも色ペンを使って、絵を描いて?そう言えば、いつの頃からか絵を描かなくなったなぁ…。」

 

一生懸命描いてみたものの、ヘンテコな絵ばかりで、難しいものです。五種類くらい描いて、参加者全員で持ち寄って、鑑賞してみました。似たようなものはあれど、どれを見ても同じ表現はなく、この発想はなかったと、発見することばかりでした。やらないと分かった気になってしまいます。
人間の指紋も同じようで、どれ1つ同じじゃないです。奥深いと唸ってしまいました。

 

具体的には、グリーフの影響は多岐にわたるということで、四つの分類のお話がありました。「心理的影響」、「身体的影響」、「社会的影響」、「スピリチュアル的影響」の四種類です。

 

「社会的影響」に含まれてる1つに「過活動」があります。本人は気づきにくいそうですが、元気になったと錯覚して、むしろ悲しみを払拭するために働きまくるということでしょうか。そう言えば、そんな人って確かにいます。何かを忘れるために、仕事に精を出す人など。これもグリーフの影響なんです。

 

あと、グリーフは乗り越えるものじゃなかったんだと、これも知らないことでした。時薬もあまり有効とは言えないということが分かりました。大事なのは「1人じゃない」「自分だけじゃない」「ここなら受けとめてもらえる」場があるということです。

 

すごいキーポイントですが、自分にとってその場所はどこにあるのか…。まだ答えがでないと感じました。あるような、ないような、そんな場所って、一体なんだ。でも、そんな場所があれば大変素晴らしい世界が広がります。

 

もう1つのワークは、僧侶が関わるグリーフケア(死別の支え)とそれ以外の人(医療者、カウンセラー、遺族支援のNPOなど)が関わるグリーフケアにはどんな違いがありますか?という問いでした。

 

班ごとに模造紙を使って、書きだす作業をしました。考える角度によって、全然人と違った意見がでるわ、でるわで、あっという間に模造紙が文字で埋まってしまいました。1つのテーマについて、みんなで考えるって大切なことです。昔、小学生のときの班ごとの作業というか、そんな雰囲気を思い出しました。それだけでも楽しかったです。

 

さて、第1講において基礎的な知識は学びまして、第2講「セルフケア~自分自身を知る~」、第3講「聴く力を育む」と続いていきます。具体的な実践形式もあるそうなので、どのように進んでいくか楽しみです。

 

正直、グリーフケアの内容について文字に起こしてみると、文字で表現しづらく、限界があると、書いていて思いました。やはり、実体験(ワーク)を行なうことで、身の事実からしか出発点はないんだ、とそう思ったわけです。次回もお伝えしていきたいと思っています。

(つづく)

(文責 家本久和:横浜別院列座)

( 横浜別院だより「本願力」第71号より )

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