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 謹んで阿弥陀如来、宗祖親鸞聖人、ならびに三世十方の諸仏如来に申し上げます。

 本日ここに、親しく宗祖親鸞聖人のまえに坐(ざ)すことを得て、全戦没者追弔法会を厳修いたします。このときにあたり、一つには過去の罪障を懺悔(さんげ)し、二つには現在の遇法(ぐうほう)を慶喜(よろこ)び、三つには将来に同朋社会の実現を期したいと存じます。

 第一に、過去の罪障を懺悔するとは、われらの宗門が、先の悲惨な侵略戦争に自ら荷担し、それを「聖戦」と呼び、「まったくおおせにてなきことをも、おおせとのみもうす」罪を犯したことであります。

 実に、五逆謗法(ごぎゃくほうぼう)の咎(とが)逃れがたく、今更めて全戦没者(ぜんせんぼつしゃ)の悲しみを憶念(おくねん)し、ここに真宗大谷派が無批判に戦争に荷担した罪を表明し、過去の罪障を懺悔いたします。

 第二に、現在の遇法を慶喜ぶとは、そのわれらの罪障(ざいしょう)にも拘らず、「謗法(ほうぼう)・闡提(せんだい)、回心(えしん)すれば皆(みな)往(ゆ)く」の金言(きんげん)が示す如く、如来の本願はその罪を私たちに知らしめ、罪に向き合い、平和への道を歩ましめるのであります。

 この五濁の世にあって、過去の罪障を我が身にひき受けて、全戦没者の心奥の願いと共に、浄土に向かって立ち上がることができるのであります。

 第三に、同朋社会の実現を期すとは、本願念仏の教法に生きる者は「四海の内みな兄弟とするなり」という浄土の荘厳功徳(しょうごんくどく)をこの身に受け、死者と生者が一つに出会い、国家や民族の境を超えた「同朋社会」の実現に向かって生きる者となるのであります。

 われら真宗門徒、ここに非戦平和の誓いを表白し、ひとえに、この身とこの世の無明の闇を照らす仏の教えに随い、ともに生きあえる世界への道を歩まんことを誓うものであります。