寺院活性化支援室 過疎・過密地域寺院支援では、寺院活性化支援員を派遣し、お寺の現状や課題、要望をていねいにお聞きし、寺族と門徒と一緒に教化の取り組みを考えています。

低気圧や前線が通過するため、東北から沖縄にかけての広範囲で雨や雪が降ふった2019年4月10日。寺院活性化支援室 過疎・過密地域寺院支援では支援員養成のため、大雪の長野県塩尻市奈良井宿にあるお寺 東京教区長野5組 專念寺におうかがいしました。

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奈良井宿は旧中山道の宿場町。長野県塩尻市奈良井にあります。奈良井川沿いを緩やかに下りつつ約1kmにわたって町並みを形成する、日本最長の宿場です。 その町並みは旅人が行き交う往時を思わせ、1978年には国から重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。

外国人観光客がたくさん訪れる奈良井宿。ご住職の入寺当時はの奈良井の集落には、およそ4,800人ぐらいいたとのこと。2005年の合併当時約3,500人、現在は約2,600人で、一人暮らしの方が増加してきているとのこと。

また、近くの小学校まで徒歩20分。児童数が減少してきているため、今後、塩尻市内の小学校は統廃合されていくことが考えられているそうです。

そして、奈良井の方は塩尻市街や長野市、東京に転出される方が多いとか。同じ長野県でも飯田市では名古屋市方面が多いそうです。

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当日は、住職の藤井護さん、坊守の藤井純子さん、責任役員の小嶋正則さんにお話をお聞かせいただきました。

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【法語のお寺】

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專念寺は飛騨高山の照蓮寺嘉念坊明心の弟、明竪が1532年に建立し今に至っています。

お寺のいたるところには法語が掲示してありました。〝いいな”〝なるほど”うなずける、響いた言葉を他の方にも伝えたい。そんな思いからだそうです。

〝お寺は通りからちょっと高いところにあるので、お寺の前に掲示してもなかなか見る人がいない″

〝外国人観光客が増加している″

このことから1枚目の写真にあるように、通りに面しているところに掲示板を建て、外国語表記もする工夫もされていました。

【師・同朋を大切にしたい】

高山教務所で宗務役員として勤めている中で、專念寺のご門徒からのお願いがあって、三重県から入寺することになったご住職。今に至るまでには、様々な人との出会いがあった〝よき師″〝同朋″との出会いによって私は育てられたと語られました。

お寺は地域にある奈良井宿という場所には、浄土真宗以外のお寺もあるだからこそ、

「まずは僧侶としてではなく、一人の人として接して話をする。そんな中でお坊さんと話しをしてみたい、仏教の話を聞いてみたいという人も出てきた。」

「同朋の会を大切にこれまでしてきた。毎月10日・20日に同朋の会を行っています。ご門徒が作詞・作曲した〝專念寺同朋の会の歌もある。参加人数が減ったりしてきている中で、よく寺が坂の上にあるから上っていくのがつらいって話しもよく聞く。だけど、〝喜びがあれば坂も上がれる″って思う。喜びのある会にしていきたい。」

と語られました。そして最近、地区同朋の会も始められたそうです。

「毎週第2日曜日に公民館の掃除がある。それに合わせて少しのお話をして同朋の会をしてるんだ。」

ちょっときっかけを見つけて、取り組まれていました。

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【責任役員の小嶋さん】

塩尻市観光協会でお勤めされている小嶋正則さん。お寺のことに関わるきっかけは、〝父が早くに亡くなられたこと″

「父がよくお寺にお参りに行っていた。だから、自分も行った方がいいかなと思い行くようになった。そして、お寺でお話を聞くうちに、〝あっ、そんなこともあるな″ということがあり関心を持った。」

とのこと。小嶋さんからは地域の特徴について、お聞かせいただき、

●信濃は宗教行事は大事にしてみなさん取り組むけど、信仰心が強いという分けではない。

●御嶽信仰がある・・・江戸時代に誕生した山岳信仰の一種。御嶽山を神とする。明治時代の神仏分離でh、政府公認の教派神道13派の一つ「御嶽教」に数えられた。

●塩尻市の過疎対策は、ハード(建物)からソフト(人の交流、若者の交流、定住、Iターン)へ変化してきている。

「えんぱーく塩尻市立図書館」 【市民交流センター/コワーキングスペース】

https://skima-shinshu.com/en-park/

が注目され、国宝松本城の年間観覧者数と同じぐらいの来館がある。仕事を探すために自己紹介カードを作成すると、その人を必要とする仕事場から連絡がくる〝新しいカタチの職業安定所″のような機能も施設の中にある。

【お寺のお墓】

土地が少ない奈良井では、急斜面にお墓が建てられていました。

「汝自當知」と記載のある合葬墓。定められた年数になると、お骨をいっしょにするそうです。また、こうやってお墓があるからこそ、元奈良井に住んでいた方が、「自分はあっち行ったり、こっち行ったりふらふらしているけれども、父ちゃんのことはちゃんとしたい、生まれたこの地に父ちゃんのお骨を納めたい。」と言ってきたことがあるとのこと。

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【お寺についてあれこれ思うこと】

「自分のうなずけることをやっていく」

☆幅広く人と人との出会いを大切にしたい。出会って話すことによって、大事なことが伝わればよいと思う。

〝お誕生日の法要″をした。それは、あるおばあちゃんの一言から始まった。「私の家は新屋で、まだ亡くなった人がいない。だからお坊さんは月参りに来てくれない。でも、お参りしてほしい!!」

そこから頭をひねって考えた、〝お誕生日の法要″は、自分がこの世に生まれたことに喜ぶ法要。ちょうど宗祖親鸞聖人御誕生800年の法要もあったし。そのおばあちゃんはもう亡くなられて月参りに行っているけど、今でも家族そろってお参りされている。

☆〝地域のため″、〝〇〇さんのため″と言ったところで、結局は自分のためだと思う。だからこそ、〝自分のうなずけることをする″ことが大事だと思う。

〝求道者の姿″のある本当のお寺のあり方が求められているのではないか

☆寺族の信仰心の低下、生活手段としてのお寺、職業化というのがあるのでないか

〝社会性″の必要性。

☆ないものを求めるのではない。〝ある″ものを活用させていただく。(教え・僧侶・寺族・門徒・施設・朋)。あるものを再発見して、できるところから始めればいい。

 

寺院活性化支援室では、お寺の教化活動を一緒に考えます。

詳しくはこちらまでhttps://jodo-shinshu.info/shienshitu/