寺院活性化支援室 過疎・過密地域寺院支援では、寺院活性化支援員を派遣し、お寺の現状や課題、要望をていねいにお聞きし、寺族と門徒と一緒に教化の取り組みを考えています。

ゴールデンウィーク明けで、新緑がまぶしい2019年5月7日。

寺院活性化支援室 過疎・過密地域寺院支援では支援員養成のため、東本願寺創立の祖 教如上人の御旧跡(鉈ケ岩屋国見峠)にほど近い、 大垣教区第8組 光永寺におうかがいしました。

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【鐘楼堂】

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【山と川に囲まれて土地はあまりなく、お墓も合葬墓が主】

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国見峠を通って、あと1.5km。道路拡幅作業に伴ってまさかの通行止め。迂回でお寺への到着にさらに1時間かかってしまい、大変ご迷惑をおかけしてしまいました、「大変なことだったね。」「大丈夫かい。無事に到着してよかったと温かく迎えていただきました。」

【岐阜県揖斐川町】

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岐阜県揖斐川町の人口は減少を続けており、1985年に約3万人であったのが2015年には約2万1千人。65歳以上人口は35.2%。死亡者数が出生数を上回る自然減少が続いており、2045年には約人口1万人が予測されています。

【「お寺は村のお内仏」、「不便なところだけど、人間が生きていく上で大事なことがここにはある」】

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大変恐縮しながら、まずは本堂でお参りし、住職・坊守・ご門徒2名からのお話をお聞きしました。

ご住職は元国語の教師。「お寺の資料をまとめたものがあるから。」と資料をお配りいただき、まずは各々の自己紹介から始めました。ひととおり寺院活性化支援室からの自己紹介が終わった後、住職の朝野千広さん・坊守の朝野悦子さん・ご門徒の藤原さんと小寺さんから自己紹介をいただきました。

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ご住職からは、この地域の方が『阿弥陀経』『正信偈』を昔から読むことができること。そして、「お寺は村のお内仏」という言葉が残っており、生活の中心にお寺があること、毎朝夕門徒宅のお内仏で勤行が行われていることなどをご紹介いただきました。

お寺の使命は、「お念仏を大切にし、大切にすべきことに(仏さんより)気づかされる。悲嘆を受容し生きる喜びを感じるような場や関係性をつくる。住職と門徒さんの「皆でおつくりするお寺」

坊守さまからは、「若い頃はこの田舎がいやだった。でも、ここには温かいご門徒がたくさんいる。不便なところだけど、人間が生きていく上で大事なことがここにはある。」との思いをお話しいただきました。

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【皆でおつくりするお寺】

お寺は住職のものではない。皆でおつくりするお寺でありたい。この考え方が葬儀や法事の場、同朋の会でも実践されていました。法事の場がともに仏事となるように、法要の前に本日の趣旨、次第と内容(表白の意味、伽陀の意味、お経の概要など)を順に説明するそうです。そのことによって、お経との距離・仏事との距離を近づけたい思いがあるとのこと。

先代のご住職が、みんなで『阿弥陀経』を読めるようにと取り組んでいたので、さらに他のお経も一緒に読めたらとの思いから、勤行本を配ってお勤めされています。そのことによって、法事での私語がなくなっていったそうです。

葬儀では次第を事細かく説明はしていきませんが、通夜・葬儀に参列した方々一人ひとりに専用の冊子を配り、お勤めされるとのこと。この取り組みは、どうしても慌ただしく迎えざるおえない葬儀の喪主やその家族に、「葬儀で何をしているのか」「その意味は何なのか」を伝えたいし、分かりたいという喪主やその家族の思いを感じたからとのこと。よく、どうお荘厳したらいいのか?、他の人に恥ずかしくない準備をしなければ!という方がいるけれど、それよりもその場の心持ちをどうするかを大事にしたいと語られました。

「喪の伴走者、次の世代へのバトンタッチ」

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その他、法事のひと工夫として、子どもがお参りに来ていたら休憩時間に紙芝居を読むこと、1周忌以降の法事では集合写真を撮る⇒手紙、2L判現像写真、CD-Rに入れて送るということをされていました。これは、法事が終わった後もこの仏縁を大事にして欲しいという思い、記念に写真が残る、CD-Rによって施主の必要な分だけ写真を現像できるということ。

そして、法事の場に来て下さった方々の現在帳をつくって、次世代へ仏事をつないでいきたいからとのことでした。

また、同朋の会(お寺へ参ろまい会)では何をしたいですか?とご門徒に聞いたら「焼香がいい!」となったので、なぜするか・どのようにするかから始めたとのことでした。押しつけではない、受け手の要望に応えて取り組みたいと語られました。

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【手づくり市と伝統工芸の育成】

光永寺さまでは、ご門徒のそれぞれ持っているイイところを生かす取り組みとして、手作り市や伝統工芸の育成などをされています。

手作り市は、定例行事の永代経や報恩講の後に開催され、趣味で作っておられる手工芸品や、新鮮な旬の野菜などをお安く販売。作られた方と買われた方との会話やふれあいが目出来です。そして、〝参る″楽しみを増やすこと。その売上金は、同朋の会(お寺へ参ろまい会)の運営資金に充てられます。

伝統工芸の育成は、伝えたい郷土の伝統を、長老のご門徒が講師となり講習会をされています。

「籐蔓草を使った鍋敷き作り講習会」  御年100歳の元気で何でも工夫して手作りしてしまう方

「藁草履作り講習会」 御年80歳 IMG_1194

【この後の取り組みは・・・?】

とにかく何事も丁寧に取り組んでいる光永寺さま。この後の展望をお聞かせいただきました。

「この集落はご存じのとおり、子どもがほとんどいない。でも、お寺は村のお内仏という言葉があるように、お念仏を大切につないできた地域。だから、次世代へお念仏を伝えていくために親子を対象とした取り組みをしていきたい!!2020年4月を目標に。」

「20年先を考えて、取り組みを考えていきたい。」

【お寺の取り組みで大事な視点とは?】

お寺の取り組みで大事な視点について、最後にお聞きしました。

「門徒を増やすも減らすも、お寺さんの姿勢や魅力なのではないか。」

「家の、家族のつながりが希薄化している。だからこそ、お寺も選ばれる時代になっていくのではないか。本家は変わらないかもしれないが、分家はお寺を変えるということがありえる。」

「地域社会に開けたお寺のあり方が必要。」

「人間の生身のところを避けてはいかん。門徒が少なくなっても、今やれることをやっていく。」

IMG_1197【支援員養成のための現地調査に行っての感想】

「お寺は村のお内仏」という言葉が印象深い。初めて聞いた。

涙ながらに、「不便なところだけど、人間が生きていく上で大事なことがここにはある」という言葉を坊守さんからいただいた。この言葉は、おそらく坊守さんのこれまでの人生も含まれて表現されている。

・支援員が現場に行ったとき、寺院・住職・門徒が、現在されていることを丁寧に確認することが大事。希望があれば足したり引いたりすることを、一緒に共有して行っていける。そのような作業中には、今当たり前になっていることの有難さ、現在まで大事なことが伝わってきたという感動が実感できるようになる。

・寺院には一つ一つ違った歴史・寺族・門徒の関係がある中で何ができるかということは、その地域に住み、背負っていかれる方々にしか出てこない答えになるのではないかと思います。

・前向きに出来ること、したいこと、しなければならない事を一歩ずつ進めていくということは、住職の姿勢次第でいくらでもできるものだと、実践されているお話を聞いて確信した。

・阿弥陀経は本がなくても口から出ているとのお話からも、お念仏の生活がしっかりと根付いた土徳がある地域である。

・お話を聞いて、お寺でこれだけの地域差があることに驚きつつ、個々のお寺を大事に支援する寺院活性化支援室が設置された理由もうなづける。

・思いを受け止めながらも、数年後を見据えて考えていかないと、大事な場が失われていくような状況になりつつあるという厳しい現実をお話ししなければならないのが支援員の仕事。

・基礎情報として、地域の人口の増減や年齢層の情報など、社会的な資料をお見せして知っていただくいただくことは、やりにくいことだけど、やっていかなくてはならないのが支援員の仕事。

 

寺院活性化支援室では、お寺の教化活動を一緒に考えます。

詳しくはこちらまでhttps://jodo-shinshu.info/shienshitu/