第11回全国交流集会に向けて ②

まっとっちゃ 富山
「真宗大谷派ハンセン病問題に関する懇談会」
<交流集会部会委員(高岡教区) 青井 和成>

 

どうして富山でするのか?

 気づけば「第十一回真宗大谷派ハンセン病問題全国交流集会」の富山県での開催まで、あと五ヵ月となりました。
 富山県での開催の打診が来てから、いろいろな方に協力をお願いしたのですが、即答で「一緒にやろう!」と言ってくださった方もいましたが、時には、「なぜ、富山でやるのか?」というご意見もいただき、いろいろと考えさせてもらいました。やはり富山県という、自分たちの住んでいるところと、ハンセン病問題が繋がらないからのように思います。ある意味、隔離政策によって、ハンセン病の療養所がない地域では、本当に問題が課題として見えなくなっているからなのかもしれません。しかし、富山にもハンセン病であるという理由で、ハンセン病療養所に強制隔離された方が現におられますし、今もなお療養所で暮らされている方もおられます。
 もしかしたら、ハンセン病回復者だと知られるのを恐れながら、ひっそりと生活なさっている方が私たちの周りにおられるかもしれません。また、家族の方がそのことを知られるのを恐れ、ひっそりお住まいかもしれません。本当に私たちが気づけていないだけなのかもしれません。ハンセン病問題がないのではなくて、見えにくくなっているだけなのではないでしょうか。
 

私たちの歴史から問われること

 また私たち真宗大谷派の先輩方が、言わば国策のもとで患者を見つけ出し通報し、強制隔離の手伝いをしてしまっていたり、「ハンセン病という病気は、感染しやすい怖い病気だ」という誤った国の情報のもとで、ハンセン病の可能性のある方や家族を差別してきたのかもしれません。私たち自身に責任があるかどうかということはさておいて、隔離政策に無関係なところは、今の日本や当時日本の植民地であった場所において存在するのでしょうか。私はそういうことを思ってしまいます。言い過ぎになるかもしれませんが、こういう意識がハンセン病問題解決への足かせになっているのだという気にもなります。
 

富山でまっとっちゃ

 さて、富山・高岡の両教区が合同で事業をしたこともなかったし、大きな集会を主催した経験者がほとんどいないという、本当に手探りのところからの出発でした。それが今ようやく少し形として現れてきたわけです。
 どうぞ回復者の方々、ハンセン病問題に関心をお持ちの方、ハンセン病療養所のない富山にお越しいただいて、共にハンセン病問題について考え、話し合いませんか? またハンセン病って何? と思っておられる方も、ぜひ富山に足をお運びになられて、いろいろな人と出会い、ハンセン病問題を考える契機としませんか? 郷土の美味しいものも用意します。みなさん、とにかく富山で開催する交流集会に来られぇ〜! まっとっちゃー!
 

第11回真宗大谷派ハンセン病問題全国交流集会
テーマ 富山から考えるハンセン病問題 〜病そのものとは別の苦しみ〜
開催趣旨

 「らい予防法」廃止から23年。「らい予防法違憲国家賠償請求訴訟」勝訴から18年。この度「第11回真宗大谷派ハンセン病問題全国交流集会」を富山県(富山教区・高岡教区合同)で開催いたします。
 真宗大谷派は、1996年の「らい予防法」の廃止とともに、「ハンセン病に関わる真宗大谷派の謝罪声明」を発し、国の人権侵害を見抜けなかったこと、教団が隔離政策を支える社会意識を助長したこと、さらに隔離政策に宗教的意味を与えたと謝罪しました。同時に今後、念仏の教えが人間回復・解放の力となり得る教化の推進を課題としていくと約束しました。
 これまでの交流集会は、隔離政策の中で亡くなられた多くの命と向き合い、今を生きるハンセン病回復者の方々の声を共に聴き、ひとりの人間を同朋として見いだす場の創造を願いとして開催してきました。
 ハンセン病回復者やその家族が「地域社会から孤立することなく、良好かつ平穏な生活を営むことができるようにするための基盤整備は喫緊の課題」(「ハンセン病問題基本法」理念)ですが、依然として道なかばと言わざるを得ない状況が続いています。また、2016年に提訴された「ハンセン病家族訴訟」では、隔離の被害の深刻さ、地域社会におけるハンセン病に対する差別と偏見の根深さを原告(家族・親族)の証言により提起され、社会の在り方や人間関係が抱える多様な問題が問われています。
 富山県にはハンセン病療養所がありませんが、「イタイイタイ病」という公害病の被害の歴史があり、患者本人だけでなく、家族親族も苦しい生活を強いられました。それはどんな被害であるのか。ハンセン病問題とイタイイタイ病問題との重なりから見えてくる相(すがた)を思い、聞こえてくる声を聴き、共感の世界をひろげたい。そして未来の世代に伝えていきたいという願いのもと、富山県での交流集会を開催します。皆さまのご参加をお待ちしています。
 

 
 ハンセン病問題入門講座(全国交流集会に向けての事前学習)
 第1回 2019年3月9日(土)会場:高岡教務所
                講師:黄 光男氏(ハンセン病家族訴訟原告)
 第2回 2019年4月22日(月)会場:富山教務所
                講師:旭野康裕氏(高山教区ハンセン懇委員)
 第3回 2019年5月14日(火)会場:高岡教務所
                講師:旭野康裕氏(高山教区ハンセン懇委員)
 第4回 2019年6月12日(水)会場:富山教務所
                講師:北原 誠氏(重監房資料館学芸員)
 

 

第11回真宗大谷派ハンセン病問題全国交流集会
富山から考えるハンセン病問題
—病そのものとは別の苦しみ—

 
 このたび「第11回真宗大谷派ハンセン病問題全国交流集会」を富山県総合福祉会館サンシップとやまをメイン会場として、富山県(富山教区・高岡教区合同)にて開催します。
 富山県にはハンセン病療養所がありませんが、「イタイイタイ病」という公害病の被害の歴史があり、患者本人だけでなく、家族親族も苦しい生活を強いられました。それはどんな被害であるのか。ハンセン病問題とイタイイタイ病問題との重なりから見えてくる相(すがた)を思い、聞こえてくる声を聴き、共感の世界をひろげたい。そして未来の世代に伝えていくことを願って開催します。皆さまのご参加をお待ちしています。
 
【開催期間】
 2019年9月13日(金)13時30分〜14日(土)12時
【会  場】
 集 会:富山県総合福祉会館 サンシップとやま
    (〒930-0094 富山県富山市安住町5-21)
 懇親会:オークス・カナルパークホテル富山
    (〒930-0858 富山県富山市牛島町11-1)
【募集人数】
 300人
【日  程】

《13日》
時 間 日  程
13:30 受付
14:30 開会式
15:10~16:10 基調講演 黒坂愛衣 氏
16:30~16:50 ショートレクチャー 「声に聴く」 ・ハンセン病家族訴訟原告 ・イタイイタイ病問題
16:50~17:00 ふるさとネットワーク富山 活動報告
18:00〜20:00 交流懇親会

 

《14日》
時 間 日  程
9:30 オリエンテーション
9:40~10:10 ショートレクチャー「声に聴く」 ・ハンセン病回復者
・イタイイタイ病被害者家族 ・ハンセン病退所者
10:30~11:30 リレートーク
11:30 宣言文採択 閉会式
12:00 終了

 
※都合により日程を変更する場合があります。
※日程終了後、希望者を対象にオプショナルツアーを実施します。
 
〔①イタイイタイ病資料館 ②井波別院瑞泉寺 ③世界遺産五箇山合掌造集落〕
(詳細は本紙綴じ込みの申込用紙裏面及び宗派ホームページにて)
 
【参加費用】
参加費:1,000円(資料・保険代を含む)
選択参加費用 ①懇親会:8,000円(食事・飲物代)
       ②移動タクシー代:500円(1回)
       (懇親会場への移動・予約制・乗り合い)
※その他、会場までの往復旅費・宿泊費は参加者負担。
【申込方法】
本誌綴じ込みの申込用紙または、
宗派ホームページより申込用紙をダウンロードいただき、
必要事項をご記入の上、郵送またはFAXにてお申し込みください。
【2019年7月10日(水)締切】
 
【基調講演】

黒坂 愛衣 氏
東北学院大学准教授。
著書に『ハンセン病家族たちの物語』。
 

【申込書送付先】
名鉄観光サービス富山支店 FAX:076-431-2056
富山県富山市桜橋通り1-18 北日本桜橋ビル5階
【お問い合わせ先】
真宗大谷派解放運動推進本部 TEL:075-371-9247

 
真宗大谷派宗務所発行『真宗』誌2019年5月号より