全国のお寺で多種多様な同朋会や子ども会が開催されています。今回は石川県かほく市白尾の龍賢寺の廣瀬仁若院に、お寺や年齢の垣根を越えた取り組みについてお話を伺いました。

一人では大変なことも協力すればできるかもしれない 


白尾地区には3つのお寺があります。そこで数年前に始まった子ども会「寺KOYA」は3つのお寺が協力し、宿寺を交代しながら行う子ども会です。一部の地域では人口の減少などで子どもたちが少なくなり、子ども会の消滅という危機にも瀕しています。また今まで子ども会をしたことがないというお寺も多く、どうしたらよいかわからないという声も耳にします。

そんな中で龍賢寺若院の廣瀬仁氏は、児連での経験やお寺同士の繋がりを生かし、地域の中心となって、新しい子ども会やお寺のあり方を模索しています。

寺KOYA(参加者みんなでお勤め)

寺KOYA(法話の様子)

子どもたちと遊ぶ廣瀬仁若院

つながりのある関係性を目指して


お寺は敷居が高く、足を運びづらいという思いの方は大勢います。廣瀬氏はそういう人たちにもっと気軽にお寺に来て欲しいと話します。寺KOYAではお勤めと短い法話を行い、そのあとは各お寺が企画したゲームや催し物を行っています。あるお寺では難しいことも、他のお寺ならできることもあります。花まつりの甘茶かけや工作教室、ミニコンサートなど多種多様な催しを行い、子どもたちだけでなくその両親や祖父母も参加し賑わいを見せています。

子ども会は続けていくことが難しいと言われますが、お寺同士で協力し知恵を出し合うことで、大変だと諦めていたことを続けていける可能性を見出せるかもしれません。お寺とお寺、お寺と地域、門徒と門徒の関係性が拓かれています。

寺KOYA(工作体験)

寺KOYA(コンサート)

子どもたちだけでなくどんな世代の人でも


寺KOYAを立ち上げた龍賢寺では、子ども会だけでなく幅広い世代の方にお寺に親しみをもってもらえるよう、ヨガ教室や「正信偈」の輪読会などの取り組みも始められました。ヨガ教室は門徒の友人を先生に招き、月に2回昼の時間と夜の時間にわけて開催しています。忙しい人でも参加しやすいようにという配慮です。一番多い参加者は40代の女性ということで、今までお寺に来たことが無かった方にも興味をもってもらえるようになったそうです。

ヨガ教室の様子

いつでも誰にでも


廣瀬氏は、本堂は道場であるが同時に人間関係を構築している場所だと話します。新型コロナウイルスの感染拡大で人が集まることがはばかられる時代の中で、人と人とのつながりの大切さがあらためて問われています。昨年は例年どおりの活動が出来なかったそうですが、子ども会で仲良くなった子どもたちがふらっとお寺に遊びにきて、報恩講のために掃除を手伝ってくれたこともありました。また、大雪の中、歩いてお寺に来ている方もおられました。関係性が一回一回の集まりだけで終わらず、ずっと続いていることが伺えます。最近は休校や学童クラブの休止で行き場所を失った子どもたちや、自粛疲れで息抜きをする場所がないという大人の声も聞こえてきます。

大きなイベントや法要ができなくとも、お寺がいつでも誰にでも開かれていて、気軽に立ち寄れるということ。それが地域とともに生きていくということの最初の一歩なのかもしれません。

(金沢教区通信員 伊藤暁信)