真宗大谷派(東本願寺)では、宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃事業の5つの重点教化施策の一つとして、「真宗の仏事の回復」を進めています。これは朝夕のお勤めや報恩講をはじめ、通夜・葬儀・法事などのあらゆる仏事が、御本尊を中心とした仏法聴聞の場として回復していくための取り組みです。ここでは各教区の動きを紹介します。


小松教区は、相続講勧募をご門徒方が主体的に行っている。世話方は地域ごとに組織化され、「お講」を通じて勧募するなど、ご門徒のご門徒によるご門徒のための取り組みとして、相続講は小松教区に根付いている。

 

昨今の社会情勢による「宗教離れ」は勿論深刻なのだが、相続講制度にご門徒が直接関与していることから、一人ひとりの「ご本山」への意識もまだまだ高い。

 

そんな土地柄から、相続講賞典である真宗本廟収骨もご門徒が直接申請されることが多いのだが、昨年からの「新型コロナウイルス感染症」の影響で申請が激減していた。また、以前から、高齢などの事情で本山まで行くことが困難だという声も漏れ聞こえていたこともあって、高齢化・宗教離れに新型コロナ対策を合わせる形で実現した取り組みが、この「真宗本廟収骨代行」である。

 

教務所が開いているときにはいつでも申し込みを受け付け、収骨代行の申請に併せてお勤めと収骨の願いなどを伝える短い法話を行う。そして預かったご遺骨は、毎月中旬に教務所員が本山にお持ちする。

受付の様子(ご遺骨持参)

真宗本廟収骨代行受付の様子

 

初めての取り組みであったが反響は大きく、取り組みが始まった2020年9月から多くの申し込みがあり、9月だけで80体を超えた。最終的には2020年度中に343体のご遺骨を預かり、本山へお収めした。

 

お勤めの際の法話では、相続講にご協力いただいたお礼を述べ、相続講の願いや「亡き人を案じる私が、すでに亡き人から案じられている」という法語を通じて、亡き人をご縁に仏法に出遇うこと、ご自宅での朝夕のお勤めや年忌法要の大切さを再確認している。また、お勤めの後には、幸いにもコロナが収束することがあればぜひご本山に足を運んでいただき、ご本山とご縁を持っていただきたいとお伝えしている。

 

特に最後の本山参拝の促しに対しては、「わかりました」としっかり頷く方や「祖父母の納骨の時には親族が連れ立ってご本山に行ったものでした」と述懐される方もおられる。帰り際に「よろしくお願いします」と頭を下げられるご遺族も多く、愛山護法の思いが生活に根付いている歴史を感じさせる。

 

お勤めの様子1 全体

お勤めの様子2 合掌

お勤めの様子(左:次第等を掲示して案内 右:焼香・合掌されている様子)

 

コロナ禍での臨時措置としてはじめた真宗本廟収骨代行は、多くの継続要望をいただいたことから、2021年度も継続実施することとなった(上山は3ヵ月に一度)。

【詳しくはコチラ

本山収骨の様子(新聞に掲載された)

新聞でも紹介された(北國新聞 2020年12月20日)

 

コロナ禍は、人と人との関係を断ち、特に遠方との行き来を難しくさせているが、逆に、これまで「あたりまえ」としてきた毎日の生活が「かけがえのないもの」と見直され、人と人とをつなぐお参りの場の大切さに気付かせてくれるはたらきともなっている。

 

(小松教務所)