法語に込めた思い
小学生の頃、叔父からもらったステッカーが「兵戈無用」という言葉との出会いでした。
住職となった今、すべてのいのちはつながり支えあっているのだと伝えようとしてくれた、当時の叔父の思いが理解できます。現在も世界中で争いによりたくさんの方が犠牲になっていますが、殺戮が正当化される正義はありません。
あらためて平和な世を念じ書かせていただきました。
※兵戈無用
軍隊も武器もいらない、という意味。
「不殺生」「殺すなかれ」との釋尊の基本思想を背景とする。
掲示板に込めた思い

滋賀県にある琵琶湖の北西に位置し、水運で栄えたマキノ町海津の街道沿いに二重門の山門が立つ。その門の脇に掲げられている、しなやかな毛筆で書かれた法語が目を引く。法語を考え、筆を執るのは一英住職。その都度御教えに出遇い、日々のあり方を見つめ、心がひらかれるという。
「門前を通る門徒さんや地域の方から、言葉の意味を尋ねられたり、法語を写真に収めておられる姿を見かけたりした時はうれしいですね」とほほ笑む姿に一英住職の人柄が表れていた。
また、「立ち止まって見てくださる方が一人でもいらっしゃれば幸いですし、言葉にたずねてもらえたらなおよしです」と、門徒さんや地域の方が問いをもって聴聞くださればと願われている。
これからも法語を通じて一人ひとりとご縁を紡ぎ、お寺が地域に開かれた場であり続けたいと願う住職の思いに、共感しつつお寺を後にした。
(京都教区通信員・堅田 一葉)
『同朋新聞』2025年5月号「お寺の掲示板」より
ご紹介したお寺:京都教区 近江第25組 福善寺(住職:藤原 一英)
※役職等は『同朋新聞』掲載時のまま記載しています。