法語に込めた思い

 お寺の掲示板に書かれた言葉がふと目に入り、足を止めることがあると思います。そんな時、少し肩の力が抜けるような言葉を届けたいと思い、この法語を選びました。楽しいときも苦しいときも、人生はあっという間に過ぎていく。その中で、本当に大切なものは何か——。
 一人でも多くの人の心に届くよう、やさしい言葉を選んでいます。

掲示板に込めた思い

 町の中心に佇む圓成寺は、地域の人々と深くつながるお寺である。地域を挙げての一大行事である となみ夜高まつりの拠点の一つとして約3ヵ月もの間、祭りの準備に多くの人々が集う場所にもなっている。
 そんな圓成寺は2021年、お寺の修復をきっかけに掲示板を設置した。掲示板は境内の2箇所に設けられ、それぞれ異なる言葉を掲示している。そのうち一つの掲示板は、市の子ども園に隣接しているため、普段あまりお寺に縁のない人の目にも留まるような言葉を選んでいるという。
 「言葉を人に伝えるのはとても難しい。でも、書き続けることで届けられる言葉もあるかもしれません」そう話してくれたのは、掲示板が設置されて以来、法語を書き続けている若坊守さんだ。
 言葉は、すぐに人の心に届くものではない。まして心の深くに響く一語との出会いは、きわめて稀ではないだろうか。だからこそ、書き続けることに意味がある。いつか誰かの心にそっと届く、その瞬間のために。これからも、地域と仏法とを結ぶ場として、あたたかな縁を育むお寺であり続けてほしいと願っている。

(富山教区通信員・山田 晋太郎)


『同朋新聞』2025年6月号「お寺の掲示板」より

ご紹介したお寺:富山教区 第2組 圓成寺(住職:堀  勉)

※役職等は『同朋新聞』掲載時のまま記載しています。