新潟県の上越市にある蓮浄寺(れんじょうじ)では、お寺を会場とした寺院葬を行っています。昨今、葬儀は葬儀場で行われ、より人数が少なくコンパクトとなる家族葬も増えている中で、なぜ寺院での葬儀を執り行うのか。今回、蓮浄寺住職の森尻春光(もりじりはるみつ)氏と坊守の里子(さとこ)氏にお聞きしました。


住職:今は綺麗に建て替えていただきましたが、前の本堂は300年以上経っていました。そのため、茅葺の屋根はボロボロで畳に屑が落ち、外で風が吹いただけで掃除をしなければならない状態でした。

住職の森尻春光氏

それだけでなく、ハクビシンの住処にもなっていました。業者に委託して駆除してもらいましたが、8年間で100頭近く駆除されました。しかし、どうにもならないんですね。

そこで、寺報で御門徒に現状を伝えました。「こんな本堂でいいですか」と訴えました。
それから12年かけて本堂を新しくしました。御門徒の方々からも賛同、寄進をしていただき、新しい本堂になったとき、あらためてお寺としてできることは一体何だろうと思うようになったんです。


住職:壁に断熱材、窓を二重ガラス、エアコンを4台設置しているため、年中過ごしやすい本堂になりました。寺院葬を行うために組み立て式の祭壇や葬儀に必要なものを買い揃えました。足りないものは棺桶と霊柩車ぐらいです。

坊守:前の古い本堂の時は冬は寒く、夏は暑く、使える時期が本当に限られていました。居心地がよく常に入りたいと思える本堂にしたかったんです。そのために毎月総代会を開き、総代さんと一緒に毎回毎回、夜遅くまで考えていきました。お付き合いいただいた総代さんには本当に感謝しております。

その時に住職が「ここは『真宗の道場』なんだ」「皆さんがとにかく来てここを活用しないと意味がない」と話してくれたことが心に残っています。すべてのことを『真宗の道場』として考え、決めていきました。

新築の本堂

住職:本堂が建って5年ほどですが、今までに30件くらいですかね。御門徒の7~8割になります。
お寺で葬儀をするメリットとしては、費用を安く抑えられますし、近くなら歩いて来られる。寄進をいただいた際にも葬儀の際、お使いいただけることを約束していますので、よく使われています。

とにかく寺報で「本堂を使って葬儀をしましょう」ということを訴えています。そうすると最近は、「法事も本堂でしたい」と言われるようになってきました。


うちの場合は寺報と総代さんの協力によって、御門徒さんの理解を少しずつ少しずつ得ていったんです。12年かけて蓮浄寺と御門徒さんの気持ちを合わせた結果、借金もなくきれいな本堂にできました。限られた予算の中、協力してくださった総代さんと、毎月の寺報の力で本堂を建て直すことができ、今につながっているのだと思います。


住職:今で161号出していますが毎月私と坊守が書いているお寺の広報紙です。A3の紙一枚に先月あったこと、これからの予定や、おさそい、住職コラムなどを載せています。お寺に関わることを何でも書いています。

坊守:門徒軒数は100軒いかない小さいお寺ですが、どうにか続けることができています。寺報も最初は毎月ではなかったのですが、総代さんから「毎月書いたらどうですか」と言っていただき、毎月出すことにしました。『同朋新聞』と一緒にお届けしています。それに、意外と書くことは苦ではないんです。書かないといけないことや書きたいことがどんどん出てくるので次号に内容を回すこともあるくらいです。

春日山蓮浄寺だより(寺報)

住職: 費用が安く抑えられて近所でできるので、御門徒の皆さんは喜んでくださいますね。「お内陣に向かって祭壇を作るのは荘厳でいいよ」と声をいただいています。

坊守:祭壇自体は派手ではないですし、組み立て式ですが、お内陣の阿弥陀様に向かって手を合わせることができ、皆様にも喜んでいただいています。また、蓮浄寺の御門徒でない方にも「蓮浄寺の本堂を使いたい」といわれることも時々あります。

本堂での通夜の様子


住職:御門徒の方からお寺に対して聞くことは少ないと思います。だから寺から発信して、本堂の内情とか事情を伝え続けることが大切だと思います。

インターネットでの情報もよいのですが、「紙媒体」も必要だと考えています。高齢の方もいらっしゃるので「紙媒体」で伝えていくこと、訴えていくことで想いを通わせることができるのではないかと思います。字も「できるだけ大きく、見やすく」を心掛けています。御門徒の中には寺報をファイルに綴じてくださる方もいて、うれしいです。皆様に「一部だけでも読んでいただけたら」と思いながら毎月作っています。



住職:寺の運営などを御門徒に投げかけ、賛同してていただいた結果、本堂も新しくなり、お寺での葬儀も行えています。ただこれは私一人の力だとは思っていません。皆様の御協力をいただくことができ、たまたま私が住職である今、足並みが揃って、現在の蓮浄寺があるのだと思っています。

(新潟教区通信員 二所宮 岳)