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絵本ではじめる講習会

絵本ではじめる講習会開催日:2012年5月16日

 

「絵本ではじめる講習会 絵本は読んでもらうもの」

 


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 5月16日、青少幼年センターにおいて「絵本ではじめる講習会」を開催しました。講習会に向けた計画をする中で、 子ども会で重要な教化教材となる、絵本の活用の仕方を教えてほしいという意見や要望が寄せられていました。具体的には 「本屋さんに絵本を見に行っても選び方がわからない」「絵本を置いておくだけでなく、読み聞かせをしたい」、あるいは 「青少幼年センターの《絵本100冊プレゼント》に当選したが、もっといろんな絵本の可能性を知りたい」などの声がありました。 そこで今回は、これまで絵本にふれる機会の少なかった方にも、絵本の選び方、活用方法について分かりやすく学べる内容の講習会としました。

 講師には、今年25周年を迎えた京都の上桂にある絵本・児童書専門店「えほん館」店長の花田睦子さんに来ていただきました。 最初は花田さん自身の絵本体験から、お話が始まりました。お父さんが本好きで、幼い頃はいつも膝の上で絵本を読んでもらっていたそうです。 そして小学校の担任の先生がよく読み聞かせをしてくれたことが、本の世界にはいるきっかけとなったということです。しかし、 中高生時代は部活が忙しくて本を読むことはほとんどなかったそうです。でもなぜ、今こういう仕事をしているのかというと、 一冊の絵本と出会いだったのです。「人生が180度変わってしまった」とおっしゃいました。
それは職場の昼休みに立ち寄った本屋さんでふと手に取った、『ペツェッティーノ』(レオ=レオニ・作 谷川俊太郎・訳 好学社)という本でした。 サブタイトルの「じぶんを みつけた ぶぶんひんの はなし」という題にひかれ、それを読み終えた時には、自分を言い当ててくれた 感動に泣いて立ちつくしていたそうです。花田さんはそれまで、自分で自分をもて余しているような感覚の中で、「このまま何もせずに一生を 終えてしまうのではないか」と思っていました。その不安に、たった一冊の絵本が応えてくれた、その凄さにあらためて「絵本」の奥深さを 感じたそうです。それからは、自分が感動した絵本の世界を少しでも皆さんに伝えたい、と絵本や児童書専門店の仕事をされています。

 たくさんの経験と知識の中から、おすすめの本や読み聞かせに向く本の紹介をしてくださいました。実際に花田さんに絵本を読んでもらいながら、 読み聞かせのコツや、読み聞かせのプログラムのたて方、子どもとのコミュニケーションの仕方などを、実例をあげてわかりやすく話していただきました。
『うえきばちです』(川端誠・作 BL出版)を読み聞かせをした時、子どもは読み手の言葉を聞いているだけではなく、目の前に広げられた絵本の 絵から作者のメッセージを読み取っているのだとわかったこと。また同じように『やさいのおなか』(きうち かつ・作 福音館書店)では、 一歳児がページをめくるたびに大喜びしたといわれました。私たち講習会参加者も『やさいのおなか』を読んでもらいました。野菜の断面が 単色で描かれたページを見せてもらいながら、いつも見慣れているはずの野菜が違ったように見えたり、何の野菜なのか想像もつかないというような 場面もありました。絵本の他にも児童書の中から『れいぞうこのなつやすみ』(村上しいこ・作 長谷川義史・絵PHP研究所)を紹介されました。 冷蔵庫は男性か女性か、という花田さんからの質問に参加者がとまどい、私たち大人の頭の固さを知ることになりました。


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 そのように和やかな雰囲気の中、花田さんは本を紹介しながら、大切なことを少しずつ知識として伝えてくださいました。 その中で印象に残ったことばを紹介します。
「絵本は読んでもらうもの」、それは絵を見ることと文章を読むことが同時にできることが絵本の素晴らしさだから。「絵本は強制しない」、 まちがっているとか、正しいというのはない。なぜなら本を子どもに読んでやろうという大人はついつい「教えよう、伝えよう」としてしまいがちです。 読んでいる人も絵本を「楽しむ」ことが大切。「頭で覚えたことは忘れる。頭から喉元にいき、ゴックンとのみこんで心に入ったことは忘れない」。
花田さんがお父さんの膝に乗って絵本を読んでもらった記憶の話から教えられたことは、何を読んでもらったかではなく、誰に読んでもらったか、 ということが大切だということです。
今まで、子ども会で読み聞かせをすることに少々負担を感じていた参加者もいました。そういう人たちからは、絵本を人に読んでもらって 楽しかったので、肩の力が少し抜けた、という感想をいただきました。

 お寺で子ども会をするということになると、子どもが集まってくる楽しさや大切さよりも、そこにいる大人の力量が問題になって、続けていくことに不安を 感じてしまうことがあります。花田さんがいわれるように、「絵本」が持つお話の力と子どもの力を信じて、「一緒に楽しむ」という絵本の使い方に、 青少幼年センターが願いとする「ひとりからはじめる子ども会」の原点を見ました。

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