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アーカイブ(今までの歩み)

奥羽教区秋田県西組 廣誓寺

設置寺院 奥羽教区秋田県西組 廣誓寺
所在地 秋田県本荘市
「真宗」掲載号 2007年9月号
主な活動 子ども会・御堂公演(讃歌・芝居等)・合唱団(多数)・他

正力松太郎賞受賞者を訪ねて―「絵日傘人形劇研究会」

「子ども達に、愛、いのちの大切さを伝えたい」こう語るのは「絵日傘人形劇研究会」発足当初から脚本、人形制作を担当している松永敦子さん。
同研究会は1972年に発足、廣誓寺住職の亀崎英潤さんが「地域社会とつながったお寺を作りたい」という願いで始められました。廃寺になった脇寺を改築し常設人形劇場を設立以来、同劇場での公演だけでなく秋田県内外で、これまで300回以上の公演を行ってきました。その功績が認められて全国青少年教化協議会から「第31回正力松太郎賞」が贈られました。
毎週火曜日、午後7時半から9時まで、会員が集まり、人形劇の練習に励んでいます。願永寺住職の小関公範さんは参加して10年になる。大学時代に工学を専攻されたことから音響照明を中心に担当。去年、自坊の「報恩講」では近くの保育園の園児に声をかけ人形劇を上演、好評を得たそうです。続いて来られたのは参加して1年になる圓照寺坊守の菊地涼子さん。「皆と一緒で楽しいのですが、足を引っ張っているのが気になっています。20年前だったら良かったのに」と、後悔を含め、今、参加出来ていることを喜んでいるようでした。舞台の中では、廣誓寺坊守の亀崎光子さんが大道具の配置を点検して、裏方さんとして心配りをしておられました。会員は12名、お寺関係の他、司法書士、看護師、語りべ、会社員、主婦をなどユニークな方々が集まっています。
演目作品は、仏教精神を基底として、民話、イソップ物語等を素材にオリジナル劇を創作、小品等を併せて20本以上にもなります。人形も100体を越えるそうです。
この日は、「ごんぎつね」の主要場面の練習。演出の亀崎さんがキャストスタッフと意見を交わしながら作り上げてゆく様子が良くわかりました。
ごんぎつねの登場場面です。「ごんぎつねさん、出てくる時、もっと工夫してね」「もう一回、そこから出てみよう」「動く時、硬くなるからもう少し柔らかくネ」。妥協を許さない、そんな雰囲気が稽古場に漂っています。稽古の脇では松永さんともうお一方が、小道具のススキを作っています。細かな気の使い方は人形を作るのと同じです。衣装の見えない部分も人間の着る着物と同じように作ります。
他の人形劇団が観賞した時、「近くで見ても立派ですね」と感想を漏らされたそうです。こうした姿勢は「営利を目的にしていたら出来ません」と亀崎さんは言います。一度退会して再び戻られた男の方が「純粋に人形劇をやりたいから戻ってきました」という言葉が、この研究会の続いている理由ではないかと思いました。

※全国青少年教化協議会(略称・全青協)

故正力松太郎読売新聞社社主の提唱により既成仏教教団が加盟し、「青少年の教化育成」を目的に、1962年に設立された財団法人。

※正力松太郎賞

全青協設立15周年を記念して、「青少年教化に尽力、功績を挙げている個人・団体」を顕彰するために設けられ、今年で第31回を数える。
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