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アーカイブ(今までの歩み)

京都教区近江第25西組 願力寺

設置寺院 京都教区近江第25西組 願力寺
所在地 滋賀県高島市
「真宗」掲載号 2008年9月号
主な活動 子ども会・寄里藍(よりあい)他
 福井県と滋賀県の県境の山里にある小さな集落のお寺の「願力寺」では、年に数回、「寄里藍(よりあい)」という素晴らしいつどいが行われている。
もともと、「寄里藍」は気軽にお寺で何でも話せるお母さん方の集いだったが、そのお母さんたちが子どもを連れてお参りをしているうちに、何回かは子ども会として開催されるようになり、口コミの広がりも手伝って、今では滋賀県下はもちろん、京阪神からの参加者も来られるようになった。その「寄里藍」の一つである子ども会を今回取材させてもらった。
 お寺にお邪魔すると、通された部屋には囲炉裏があり、その風情のある囲炉裏端に早速一人の参加者が来られていた。そこで耳に残ったのは、坊守さんと口をそろえておっしゃった「お寺とは本来、何か行事があるからみんなが集まるということではなく、ふらっと立ち寄れるような所だったのではないでしょうか」という言葉だった。気さくな坊守さんと参加者の方としばらく話をしていると、降りしきる雨の中、一人また一人と山里のお寺へと集まってこられる。
この日は、残念ながら学校行事と重なったことと、雨天のため予定されていた山菜取りが中止となってしまった。晴れていれば参加者全員で山里ならではの山菜取りをして、お昼には取れたばかりの山菜を天ぷらにしてみんなでいただく予定であった。参加者は幼児が二人と大人が十数名。おばあちゃんと一緒に来ていた二人の女の子は坊守さんに絵本を読んでもらったり、手遊びをしながら時間を過ごした。
 新田住職の挨拶の後、この日のメインとなったのが「NPO 赤いエプロン」の平松氏による飛び出す絵本のクイズ、そして地元の高島市のお話ボランティアグループ「しゃぼんだま」による手作りのペープサート「鮒になったゲンゴロウ」の上演だった。この「鮒になったゲンゴロウ」は滋賀県ならではの琵琶湖にまつわる民話で、二人の子どもは食い入るように見いっていた。
お昼になり、事前に坊守さんが取っておられた山菜を大人の参加者が天ぷらにしていった。この願力寺の「寄里藍」は食事も「よりあい」で、参加者がそれぞれ食べものを持ち寄って、みんなでいただくという「自慢の一品」のバイキングスタイル。出来上がった天ぷらは全部で7種類もあり、持ち寄られたご飯やおかずはこの季節らしいもので、「筍ご飯」「桜のおこわ」「山菜の煮物」その他、子どもたちも食べやすいサラダなど、品数はかなり豊富であった。お腹が一杯になった頃、みんなで後片付けし、合掌して子ども会は終わった。
「寄里藍」が終わった後、住職にお話を伺うと「どんどん子どもが少なくなって今後はいつまで続けられるかわからない。遠くの子どもの参加も嬉しいが、もっと近くの子どもにも来てもらいたい」と言われていたのが印象に残った。
 地元の小学生も数が減り、統廃合の話がある中で、この願力寺の「寄里藍」は大人と子どもの境を超え、地域をも越えて続けておられる。飽食の時代、この「寄里藍」はみんなで協力し、また何ひとつ無駄にしない。仏さまのもと、聞法の場としてお寺本来のはたらきを「アットホーム」な形で実践していくことの大切さを改めて考え直す一日となった。
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