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子ども会訪問

岡崎教区15組 本龍寺

設置寺院 岡崎教区15組 本龍寺
所在地 愛知県安城市
「真宗」掲載号 2009年2月号
主な活動 子ども日曜学校報恩講
 夕方、辺りが薄暗くなった頃、お寺の境内に一歩足を踏み入れると子どもたちの明るい声がいっぱいにひろがっていました。本龍寺では報恩講の初日に『子ども日曜学校報恩講』が勤まります。
 本堂の正面からはひときわ元気のいい声が聞こえてきます。
 「『いのち』の本とお数珠をもってお入り下さい!」
 本堂の外縁でおそろいの羽織を着てお参りの子どもたちを迎えるのは、小学六年生の子どもたち。待ちに待った報恩講の開場に大はりきりです。

 「本日はよくお参り下さいました。ただ今より『子ども日曜学校報恩講』をはじめます。司会・進行は私たち六年生がつとめさせていただきます。一同合掌」。
 五時三十分、六年生のあいさつでいよいよ報恩講がはじまりました。
 「なむあみだぶつ なむあみだぶつ…」小学生が120人、中学生や高校、生保育園児、地域の子ども会の人たちやスタッフを含めると、150人近くの人でいっぱいになった本堂にお念仏の声が響きました。

 「仏様にお花とともしびをささげます。まずささげ方の作法をお見せします」。
 献灯献華は六年生をお手本にすべての人が行います。六年生の次に五年生の献灯献華が始まると、仏教讃歌「いのち」(作詞・藪田義雄 作曲・下総皖一)のピアニカとピアノ演奏の音が聞こえてきました。これもまた六年生が演奏です。やさしい音色の中でたくさんのろうそくとお花が尊前にささげられていきました。
 「導師入堂。皆さん姿勢を正して下さい。一同合掌」。
 ズラリと最前列に並んだ六年生の調声で正信偈のおつとめが始まりました。

 住職の樋口祐慈さんと坊守の頼子さんが毎月の『子ども日曜学校』を始めたのは二十年前。地域の子どもたちには「心の勉強をするお寺」として親しまれています。参加する子どもたちにとって、六年生になって報恩講の進行をつとめることは大きな目標です。「六年生になったら私たちの番だ。」昨年までこれまでの上級生を見て育った今年の六年生は十人。報恩講の二週間前からお勤めの練習や仏具のお磨きなど準備を行ってきました。第二部では手話による歌も発表します。「この準備が大切なんです。」と住職さんが言われるように、六年生の子どもたちを中心、にみんなで心を込めて準備をした報恩講のあたたかな雰囲気が正信偈をおつとめする声とともに本堂に満ちていました。

 このように六年生がはりきっているのにはもう一つ理由があります。それが日曜学校の卒業記念上山研修です。中学校入学前の春休みに二泊三日で本山と広島の平和記念公園を訪ねるのです。
 日曜学校の子どもたちは報恩講を進行し、春には本山へお参りすることができる六年生の年になるのを、とても楽しみにしています。「中学生や高校生になって、様々な課題に突き当たった時には、日曜学校で学んだ仏法に帰る方向性を持ってほしい」と願う住職さん・坊守さんにとっても、卒業研修は一人ひとりの子どもと語り合う時間を持ち、子どもたちと出会い直すことのできる大切な三日間です。
 卒業した中学生・高校生にとって、住職さん・坊守さんはいつまでも「お寺のおにいさん・おねえさん」であり、お寺は「いつでも帰ってこられる場所」となります。今年の子ども報恩講でもお参りする中学生・高校生の姿がありました。

 報恩講は正信偈の後、「仏さまのおはなし」で第一部が終了します。「カレーライス・タイム」(お非時)をはさんで第二部では、毎年六年生が手話の歌「友よ」を歌います。その後も劇団による演劇などのお楽しみが続きます。

 「仏さまのおはなし」は、住職さんの法話です。「お寺のお兄さんです。ようこそお参り下さいました」。住職さんが登場し、リラックス体操が始まると子どもたちの雰囲気も一気に和みます。今年のお話は、いつも住職さんが「食うという言葉は使ってはいけないよ」とうるさく注意する理由について。「いのちの重さ」のお話です。映画『いのちの食べかた』(2005年/オーストリア・ドイツ合作)の映像を一部紹介。ベルトコンベアーを次々と流れていく鶏の雛に「うわー!」「えぇ?」。羽をむしられ食肉になっていく鶏の姿に「これ鶏なの?人間みたい…」「あぁ…」と子どもたちから驚きの声があがっていました。おはなしでは、日頃見えていない私たちが奪っている「いのち」について、いのちは自分のものだと思っているけどたくさんのいのちに支えられてあることを伝えられました。
 「カレーライス・タイム」の時に、おつとめの声よりも大きな声で食前の言葉が唱和されたのはカレーライスがおいしそうだったから、だけではないようでした。

 第二部の演劇(今年は劇団「なんじゃもんじゃ」)を観劇し、恩徳讃が唱和される頃には、夜八時を過ぎていました。
 「これで、子ども報恩講を終わります。お数珠などお忘れ物のないようお帰り下さい」。
 六年生の終わりのことばを聞いてみんなが帰った後の本堂では、大役を終えた六年生が坊守の頼子さんを囲んで輪になっていました。「お疲れ様でした。ありがとう」。日曜学校で植えたサツマイモで作ったスウィートポテトでほっと一息です。最後に箒で本堂の掃除をしているのは中学生の子どもたちでした。
 報恩講に積極的に参加する「子ども日曜学校」の子どもたちの姿は、報恩講の案内文に坊守さんが記した「お寺の宝物は仏さまの教えとそれを学びに来てくれる皆さんです。ここは、宝物がたくさんあるすばらしいお寺です」。ということばに重なります。

 今年の『子ども日曜学校報恩講』が終りました。暗くなった夜道を帰る子どもたちの明るい声がまだ聞こえています。六年生はいよいよ来春には卒業記念上山研修です。五年生の子どもたちは、もう今から来年の報恩講が待ち遠しくてしかたがないことでしょう。
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