大垣教区第3組 明教寺
設置寺院 | 大垣教区第3組 明教寺 |
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所在地 | 岐阜県安八郡 |
「真宗」掲載号 | 2008年7月号 |
主な活動 | 子ども会・親鸞聖人ご誕生会他 |
「こんにちわー」。若くて元気な声に迎えられ部屋に入ると、いきなり強烈な目の痛みに襲われる。見ると、中学生の女の子三人が、楽しそうにしゃべりながら、大量の玉ねぎを刻んでいる。明日の誕生会で出す、カレーの下ごしらえだ。
「三人とも中学三年生。二人は二年前、試験でいい点数がとれるようにと、お寺へお参りに来た姿を見つけ、声をかけて以来のおつきあい。その時は、本堂で一時間ほど話したかな。もう一人は、二人のお友達で、今日初めてきてくれたの」。前坊守の佐々木祥子さんは、三人との出会いを嬉しそうに語られる。
たびたびお寺へ足を運ぶその理由を女の子に聞くと、一言「祥子ちゃんの魅力」。親子以上に歳の離れた「祥子ちゃん」は彼女いわく、「やさしくて接しやすい。普通の大人とは違う」とのこと。メールのやり取りをする仲良しだという。
「子どもたちとの出会いがなにより嬉しい。いろんな世代とのつながりを大切にしたい」。そう語る前坊守さんの情熱と、気さくで明るいその人柄が、子どもたちの心をつかみ、惹きつけるのであろう。
境内の桜が満開の誕生会当日、集まってきた子どもたちが、次々に鐘楼堂へ登って鐘をつく。毎月の子ども会でもつくそうで、みんな馴れたものだ。
本堂に入ると住職さんを中心に、「ちかいのことば」を順番に独唱する子ども三人を、みんなで相談して決めていた。前坊守さんのエレクトーン伴奏による真宗宗歌の後、選ばれた三人の後について「ちかいのことば」を唱和し、正信偈のお勤め開始。
お勤めの後、子ども会の皆勤賞と、卒業生・新入生に記念品が手渡され、新一年生が紹介される。緊張した面持ちの新入生も、お兄さんお姉さんに拍手で迎えられ、すぐに笑顔に。和やかな雰囲気のまま、恩徳讃を唱和して第一部は終了。
第二部は、禿憲正さんのオンステージ。まず、首にマイク、腰にはポータブルのスピーカーをつけた禿さんが、大きな身振り手振りと豊かな表情で、仏典のお話をユーモアたっぷりに語り、子どもたちは笑いながらも真剣に聞きいっていた。
休憩の後、今度は両脇に子どもの人形を従え、腹話術の始まりだ。トンちゃんケンちゃんの「トンケンブラザーズ」と、お父さん(禿さん)の掛け合いはまるで漫才を聞いているよう。巧みな話術と熟練された技術で、子どもたちはすっかりとりこに。地獄の話を、三人?の会話で面白おかしく表現しながら、互いに思いやることの大切さを伝えられた。
第三部は待ちに待ったカレーの会食。前日にカレーを作ってくれた中学生のお姉さんが、大きな鍋を本堂に運び入れ、子どもたちが持参した皿によそってくれる。砂糖や醤油など、さまざまな隠し味の入ったカレーを、おかわりの回数を競うようにたくさん食べていた。
前坊守さんに、子ども会継続の秘訣を聞くと、「子どもから学ぶことが多く、やっていて楽しい。とにかく続けることが一番」と言われる。オリジナルの出席カードを作ったりするなど、子どもたちを飽きさせない工夫ももちろんであるが、「子どもが来てくれるかどうかは親御さん次第。だから常に家の人に声をかける」という地道な縁作りが、三十年以上続いてきた大きな力なのであろう。
カレー作りの手伝いを親が申し出てくれたこともあったそうだが、子ども会を卒業した世代との交流も大切にしたいと、お断りしたとのこと。そこに、子どもとの出会いとつながりを、なによりも大切にする「祥子ちゃん」の姿勢を見た気がした。