2016年6月7日から9日まで、難波別院において第5回「9条世界宗教者会議」が「憲法9条と世界の平和―危機を平和への転機に―」をテーマに開催された。「9条世界宗教者会議」は、日本国内の宗教者だけではなく、海外からも多くの宗教者が参加し、2007年に第1回目が東京で行われてから、ソウルや沖縄などで開催され、今回大阪で第5回目が開催されました。

声明(日本語)の議論の様子
声明(日本語)の議論の様子

8日は本堂での朝祷の後、劇団石(トル)代表のきむきがん氏による一人芝居『在日バイタルチェック』の上演がありました。在日コリアンが通うデイサービスセンターが舞台で、1世のハルモニと2世・3世のスタッフ達の交流を描きます。90歳のハルモニを主人公に、ハルモニの生涯を通して、日本による植民地支配や、現在のヘイトスピーチにまで、在日朝鮮人の歴史を伝えるものでした。一人で多くの役柄を演じるきむきがん氏は、劇中で笑いや涙を交え、会場にいる人はその内容に引き込まれていきました。

その後、大谷派の日野範之氏より「宗教者の戦争責任と憲法9条」の報告の後、日本語、韓国語、英語の3つのグループに分かれ「第5回「9条世界宗教者会議」声明」作成のため、活発な議論がなされました。

高橋哲哉氏による基調講演
高橋哲哉氏による基調講演

18時より高橋哲哉氏(東京大学教授)から「日本はどこへ向かうのか―集団的自衛権、歴史認識、日米同盟―」と題した基調講演がありました。辺野古で座り込みから戻ってきたばかりであった高橋氏は、座り込む市民の後ろを米軍の戦車や装甲車が何台も通り過ぎていくこと目のあたりにし、これ以上沖縄に日米安保体制の犠牲を強いることは限界だと感じたことや、現在憲法9条は停止されていると言ってもいい状況であり、日常生活でそのことを感じることは少ないが、非常に危険な状況にあることを語られました。

大谷派という枠を超え、言語を超えた活発な議論がなされました。1つの課題について宗教や国を超えて討議する機会にあうことは少なく、貴重な場となりました。