「生・老・病・死」の問いを現場で考え、表現している様々な分野の方を講師に迎え、現代のすがたをみつめる「しんらん交流館公開講演会」。
6月は、人間ときどき映像作家の丹下 紘希(たんげ こうき)さんをお迎えし、開催しました。
●開催日時 2017年6月22日(木)18:30~20:00
●場 所 しんらん交流館2階大谷ホール
●講 師 丹下 紘希さん(人間ときどき映像作家)
●講 題 『視点を変えて生きる』~「私」という抑止力について~
「自分は、話すのが上手な人ではない。圧倒的多数の方は、話が上手な人じゃないと思う。自分はそちら側に立って話すことができないかとよく思う。上手な話ができればできるほど、強い側に入ってしまわないかとすごく不安なんです。」
有名アーティストなど数々のミュージックビデオを世に送り出してきた丹下さん。東日本大震災を経て価値観がひっくり返り、NOddIN という芸術運動を仲間と立ち上げ、現代の社会問題に取り組まれている丹下さんの、一つ一つのことを噛みしめるような講演をお聞きください。
丹下紘希さんは、1968年生まれ。
映像作家として、数々のアーティストのミュージックビデオ制作を監督し、作品集「TANGE KOUKI MUSIC VIDEO COLLECTION」で発表されています。
グレー、モノクロ、セピア等を基調としたその独特の色彩・世界観は「丹下色」とも評されています。
その他にも、CDなどのジャケットデザイン、本の装丁、障がい者の就労支援啓発や幼稚園のサインデザインなどを手掛けてこられました。
~2011年3月11日 東日本大震災発生をきっかけに価値観がひっくり返る~
丹下さんに転機が訪れます。
3.11原発事故をきっかけに、非戦、非核を宣言し、NOddIN という芸術運動を仲間と立ち上げ、現代の社会問題に取り組まれます。
そのことについて、
〝未来授業~明日の日本人たちへ 丹下紘希さん~3.11以降に「NOddIN」が誕生した理由、そして、いま改めて問われる個人の力 2016年01月08日”では、このように述べられています。
「原発事故はきっかけにすぎなかったと思っていて、原発を推進しなければいけない社会構造を疑う必要がある。というのは、自分たちも社会構造の一員で、一生懸命仕事をしていた結果、気がついたら原発事故が起きてしまった。一生懸命仕事をしていた結果、戦争が起きてしまった。たとえばそうなっていったときに、それは自分ひとりだけの問題でもなく、この構造自体がなにかおかしいのではないかということに気がついたんです。
すごく安く買えるお弁当があって、そこに使われている野菜が、とても遠いところから二束三文で輸入されているとする。つまり、その国の人たちのつくったものを踏み台にして自分たちの生活が成り立っていくということが、社会構造には含まれているんじゃないかと、そういう気がして。
みんなが小さな歯車になって、一糸乱れぬかたちで動いていく社会が大きな風車のようなものだったとしたら、その風車に立ち向かうドン・キホーテのような気持ちになって、「じゃあ、この歯車を止めるにはどうしたらいいのか」と思ったわけです。
自身が行ってきた創作活動に関しても経済優先の社会構造に複雑に絡んでいると考え、反原発や非戦平和の活動など社会問題に取り組む丹下さん。今回は、どのような視点をいただけるのでしょうか?是非、ご来聴ください。
「戦争のつくりかた」アニメーションプロジェクト呼びかけ人。
「NOddIN」の作品 http://noddin.jp/war/