2021年6月9日、九州教区長崎組第3ブロック女性門徒の会の総会が開催されました。昨今の社会情勢から一堂に会することが難しいことに鑑み、3会場に分かれてのリモート開催となりました。今回はその様子をレポートします。
第3ブロック「女性門徒の会」(婦人会)のリモート総会・学習会は、そもそも女性門徒の会に日ごろから坊守さんたちが何名も会に関わっていることによって実現されていました。
「長崎教区」から「九州教区長崎組」への教区及び組の改編により、特に「長崎組坊守会及び各ブロック坊守会」の各種事務のやり方などが見直される中、坊守さんたちは文書での連絡も大切にしながらも、LINEアプリを使用しての情報共有(グループ作成)、事務削減に取り組みました。
そこから、ご門徒を中心とした「女性門徒の会」の連絡にもLINEアプリの活用が始まり、今回LINEビデオを用いて、冒頭に各会場の様子を写して、皆の顔を見て一緒の時間を共有し会を始めることとなったのです。
また教区内の各種研修会がYouTubeを利用しているところからヒントを得て、しんらん交流館のYou Tubeチャンネルにて配信されている「いま、あなたに届けたい法話」を視聴する学習会を内容に盛り込みました。
YouTube配信のご法話は20分~30分という魅力があり、法話がコンパクトだったおかげで新型コロナ感染症の感染拡大が続くの中でしたが、座談会の時間まで企画ができました。各会場に分かれていても、同じお話を共有出来るのもポイントだったそうです。
◆LINEビデオを活用して総会を開催
LINEビデオを利用して各会場を繋げました。初めての試みということもあり、ご門徒さん達も「大丈夫かしら?」「繋がっていますか?」と最初は不安そうではありましたが、いざ繋がると画面越しに手を振り合って和気あいあいとしておりました。
総会は各会場寺院の御内仏にて、真宗宗歌、勤行の後、会長さんの挨拶があり「このご時世の中で無事に開催できて嬉しく思う」「多くの寺友を作りたいと思いながら日々活動しています」と、寺院の垣根を越えた繋がりを願われているようでした。それは本年度の第3ブロック女性門徒の会のテーマ「倶会一処」に通じるものを感じました。
お勤めはリモートで行うと音声がずれてしまうため同じ時間に各会場で行いました。
総会の様子
各事業の報告や計画を確認し、その後の会話で印象に残ったことは、各寺院の門徒の緩やかな高齢化や減少に悩んでいるという現状において、新しい付き合い方が必要だと門徒さんから声があがったことでした。また、どのように子どもへお念仏を相続していくのかという共通の課題が明らかになりました。今は一人暮らしでお子さんは県外という方も多く、自身がお寺にご縁があったことを嬉しく思われる反面、相続という面で不安を感じているという方は少なくないようでした。
◆YouTubeを活用した学習会
総会後の学習会では、しんらん交流館のYou Tubeチャンネルにて配信されている「いま、あなたに届けたい法話」から真城義麿氏の「六字のみ名をとなえつつ」を各会場にて聴聞しました。法話内では、人間や自己を中心に生きている「世俗空間」と、御内仏、仏間にて、ほとけさまを中心としていく「聖空間」とを対比させながら展開されており、皆さん真剣にメモを取りながら聞き入っていました。
各会場での聴聞の様子。
また、御和讃の「智慧の光明はかりなし 有量の諸相ことごとく 光暁かぶらぬものはなし」を取り上げられました。私のために、私のことをという点に立ってみることで、私達がさまざまに支えられ、包まれ、さまざまな方や命と繋がっていたことに気づく。また願われ、案じられていたのだと気づかされるという氏の発言に対して、熱心に頷かれる門徒さんの姿がありました。
聴聞が終わり座談に入ると、法話を中心に話が展開していき、さまざまなことがご縁なのだと話されていました。仕事や嫁ぎ先で流れ着くのもご縁であれば、夫に先立たれたこともご縁であり、お寺の役を任されたりするのもまたご縁だと、各々の立場で物事の見方をほとけさまを中心にしてみようとされているようでした。また、「物事の受け取り方もそうだが、見た目にも私達は囚われがちだ」というご意見が出て「野菜も見た目が駄目だとお店に出なかったりする。巻き寿司が好きだが切れ端の部分は並ばなかったりする。さて、人間はどうだろうか」と話が発展し、皆さんの日頃の生活における見方が少し変わるきっかけを法話の中から得ておられることがうかがわれました。
座談の様子。座談は会場ごとに行いました。
昨今、人が集まるのが憚られる情勢の中、通信環境を整えてのリモート並びに法話の配信によって、各会場寺院の御内仏を中心に聞法の場が開かれ、我が身を省みてほとけさまを中心に見つめ直し、共有し合えたということは大変喜ばしいことではないでしょうか。法話の中で説かれていた「聖空間」が、たしかに今ここにあるのだと思える場でした。これからもさまざまな問題に直面していくことがあるかと思います。その時々に出来る形で聞法の場を、「聖空間」を形成していくことが大事なのだと感じました。
(九州教区通信員 奥村誓至)