生老病死をテーマに、仏教、浄土真宗、社会問題、平和、戦争、貧困、文化など企画展示を行っている〝しんらん交流館交流ギャラリー〟
●期 間:2022年4月1日(金)~2022年5月23日(月)
●会 場:しんらん交流館一階ギャラリー
※観覧時間は平日は9時から18時まで、土日祝は17時まで。
休館日は、毎週火曜日、5月4日(水)、5月5日(木)
ごあいさつ
しんらん交流館では、4月2日に勤まる全戦没者追弔法会に合わせ戦争と平和について、立ち止まって考えるため、このたびの展示を開催しました。
真宗大谷派では、1995年の『不戦決議』において、「全ての戦闘行為の否定」とともに、「民族・言語・文化・宗教の相違を超えて、戦争を許さない、豊かで平和な国際社会の建設にむけて、すべての人々と歩みをともにする」ことを誓いました。
しかし、ウクライナやミャンマーをはじめ世界では、武力や弾圧により恐怖と悲しみの中にいる人々がいます。
かつて、そのような不条理に対して、文化的に革命を行った国々があります。第二次世界大戦後にソビエト連邦を主軸とした東側陣営に組み込まれ、アメリカなどの西側陣営と冷戦を繰り広げた中欧・東欧の国々です。エストニア・ラトビア・リトアニアは手を繋いで歌を歌い、ポーランドは円卓を囲み、チェコスロバキアはビロードのようにやさしく包み、ハンガリーはピクニックを開きました。そして、1989年11月9日、中欧・東欧諸国の人々の願いが花開き、東西分断の象徴であるベルリンの壁が崩壊しました。
その時、人々がどれほど自由を求め、背景には何があったか私たちは知っているでしょうか?
今、戦争が起きているウクライナは、自然豊かで美しい国です。その国旗の青と黄は、青空のもとひまわりが咲き誇る様子を現したとも言われています。その風景で、ソフィア・ローレン主演の映画「ひまわり」を連想される方もいるのではないでしょうか。この映画の有名なひまわり畑のシーンでは、「ひまわりの下には、イタリア兵やロシアの捕虜が埋まっている」と語られています。このシーンは激しい武力衝突があったとの報道もあった、ウクライナの南部の都市へルソンで撮影されたと言われています。
過去のような過ちが繰り返されぬよう、まずは知ることから。
それが、世界の人々が安心して暮らせることの一歩となると信じて・・・。
しんらん交流館
このたび展示をさせていただく「私」は旅をするのが好きな旅人です。専門家でもなく政治家でもない「私」が旅した国々のことを書かせていただいていいのかなと思いつつ、「私」が出会ってきた人たちのことを少しでも伝えることができればと思い今回の展示をさせていただきました。
「私」が旅をするきっかけは、日本で出会った留学生の言葉です。それは、「世界は広い、今勉強していることが正解とも限らない、間違っているとも限らない、自分の眼で観てみたらいい」というものでした。それをきっかけにお金をためてはいろいろな国を旅しました。
そこでは、多くのことを教えてもらい、たくさんのことを知ることができました。それは、日本では伝えられていない現実があること、様々な利権により争いが発生していること、悪とみなされた人たちにも何らかの理由があることなどです。そして、生きた人々が思いをもって行動する限りいろいろな価値観や立場の違いが生まれること、自分自身が観てきたことも、自分自身が生きる中で培ってきた価値観を通して観るため絶対ではないことも数々の失敗から学びました。
今、世界ではロシアとウクライナで、お互いに武器を取り合う争いが起こっています。旅の途中で出会った人の中にはウクライナにルーツがある人、ロシア国籍の人もいました。何が正しいか正しくないかは、違う国にルーツを持ち生活している「私」には想像することしかできないですが、ただ分かることは、武器をとって戦うこと、そして、どんな理由があろうとも人をあやめてはいけないということです。
「私」がめぐった東欧・中欧諸国の多くは、かつてソビエト社会主義共和国連邦の衛星国と言われ、中には厳しい言論統制をした国もありました。しかし、そこに生きた人々は自由を追い求めることをあきらめずに、最後には文化的な方法で自由を勝ち取りました。
このたびは、東欧・中欧諸国の旅で撮影した写真を展示しています。武力による被害の写真の方が皆さんに知っていただくのにはいいのかとも考えましたが、あえて「現在」を展示するのは、人々が武力により街を破壊されても、立ち上がり自分達の街を復興してきたからです。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により海外への渡航が難しい状況ですので、写真を見ながら旅する気分で、人々の自由に対する願いを知っていただければと思っています。
そして、いつかウクライナの美しい青空と一面に輝く黄金色のひまわり畑を一日も早く旅することができることを願っています。
旅人より
【写真】
ハンガリー①
ハンガリー②