お念仏とは?
お念仏を呪文のように思われている方もいるかもしれません。しかし、お念仏は呪文ではありません。お念仏の本来の意味は、文字どおり「仏を憶念すること」、そして、「仏から念ぜられている」私だと知ることです。
善導大師や法然上人など、親鸞聖人が尊敬する浄土教の祖師方は、ただ口に「南無阿弥陀仏」と称える、「称名念仏」こそが、阿弥陀如来があらゆる衆生(いのちあるすべてのもの)をもれなく救うために選んだ唯一の行であると明らかにされています。
ですからお念仏を称えることは、私たちの能力や善悪によらず、すべてのものを救おうとする仏さまの大悲心の表れなのです。
私たちは、お念仏はたくさん称えればよりご利益があるだろうとか、口に出して称えなくても、お念仏の意味がわかっていればいい、などとつい思ってしまいます。
しかしそれでは、結局お念仏をたくさん称えられる環境にある人や、お経を理解できる賢い人だけが救われる、ということになります。「南無阿弥陀仏」は、そういった環境や努力、人間の知恵や知識の優劣を超えて、無条件に救おうとする、仏さまからの呼びかけなのです。
だからといって、称えなくてもいいとか、わからないままでいいということではありません。お念仏を申し、仏さまの願い(お心)にふれるときに、かえって個人の努力や知恵によって、人を差別したり、自分を卑下して苦しんでいる私であるということが深く知らされるのです。
お寺参りやご法事のときに限らず、日々の生活の中でお念仏を申しましょう。
『浄土真宗 仏教・仏事のハテナ?』(東本願寺出版)より
東本願寺出版発行『真宗の生活』(2020年版③)より
『真宗の生活』は親鸞聖人の教えにふれ、聞法の場などで語り合いの手がかりとなることを願って毎年東本願寺出版より発行されている冊子です。本文は『真宗の生活』(2020年版)をそのまま記載しています。
東本願寺出版の書籍はこちらから