本年の人権週間ギャラリー展では、熊本県にある国立ハンセン病療養所菊池恵楓園絵画クラブ「金陽会」の方々の作品を展示します。
これらの作品は、60年以上もの長い間をかけて描きためられた、「いのちのあかし」です。これらの絵は、絵画の専門的な指導者を持たず、独学で人生の喜び、悲しみ、情熱、憧れ、郷愁、それぞれの想いがそのまま描かれています。
ハンセン病を患ったということだけで、ふるさとや家族から引き離し、社会の中でともに生きる権利を奪ったハンセン病隔離政策。
約90年も続いたこの政策により、療養所に強制収容、本名を奪う、断種・堕胎の強要、病気が治癒しても死ぬまで出られない。
1996年に「らい予防法」は廃止されましたが、今も偏見・差別に高齢化も加わり、家族との関係も絶たれ、ふるさとに帰れない方がたくさんおれれます。
真宗大谷派も、国のハンセン病隔離政策に協力し、入所者を憐れむべき対象として、不満を言わずに隔離を感謝して受け入れることが「信心」であり、「救済」であると説きました。それを支える社会意識を助長し、「病そのものの苦しみとは別の、もう一つの苦しみ」を患者にも家族にも、もたらしてきたのです。
2016年は「らい予防法」廃止から20年、ハンセン病国賠訴訟勝訴判決から15年。今年の春には「ハンセン病家族訴訟」が井提訴されました。
今回、展示された一つひとつの絵から放たれる光に照らされる時、今なおハンセン病問題をはじめ、さまざまな差別問題を抱える私たちと私たちの社会こそ、問われ続けなければならないことを教えられます。
【展示概要】
①菊池恵楓園絵画クラブ「金陽会」の作品
②小笠原 登 師パネル
※真宗大谷派寺院出身の医師。医療経験と医学的見識から隔離は必要でないと主張した。師の姿勢は、どこまでも、「その人」を大事にし、体質・栄養状態、社会的環境に配慮する治療であった。
③ハンセン病についての解説パネル
≪監修≫藏座江美(一般社団法人ヒューマンライツふくおか 理事)
【公開シンポジウム】
テ ー マ:「いのちのあかし-ふるさと・家族をつなぐ-」
日 時:2016年12月22日(木)午後1時30分~午後4時(午後1時開場)
会 場:しんらん交流館 2階大谷ホール
パネリスト:藏座江美さん(一般社団法人ヒューマンライツふくおか 理事)、黄 光男さん(ハンセン病家族訴訟原告団副団長)、小笠原 英司さん(名古屋教区圓周寺住職)
コーディネーター:大屋徳夫(解放推進本部)
【ギャラリートーク】
日 時:2016年12月22日(木)午後4時30分~
会 場:しんらん交流館 1階交流ギャラリー
古長美知子さん(一般社団法人ヒューマンライツふくおか 代表理事)、藏座江美さん(一般社団法人ヒューマンライツふくおか 理事)
※『しんらん交流館たより』創刊号の表紙絵は、当展示会で展示された絵画「根子岳」(森繁美)を使用いたしました。