井波彫刻(富山県南砺市)と東本願寺のつながりは深く、そのはじまりは江戸時代にさかのぼります。1762(宝暦12)年、井波別院瑞泉寺が焼失。その再建事業に東本願寺の御用彫刻師・前川三四郎(まえかわ さんしろう)らが派遣され、井波の大工が弟子入りしたことから、日本遺産にも選定された「木彫刻のまち 井波」の歴史が始まります。
明治期の東本願寺再建事業では、今度は井波の彫刻師が京都に駆け付け、井波の岩倉理八(いわくら りはち)が彫刻主任を務めるなど、井波の彫刻師らが大活躍。現在に残る彫刻の数々が彫られました。
時は流れ、宗祖親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃事業として取り組まれた別院と地域をつなぐ「井波別院瑞泉寺活性化プロジェクト」がご縁となり、現代の井波彫刻師の手による「木彫案内看板」が寄進され、御影堂・阿弥陀堂の向拝(ごはい)にて、参拝の皆さまをお迎えしております。
そして、2023年3月~4月の「宗祖親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要」期間中には、現代の井波彫刻師が明治期の東本願寺の彫刻を案内する「井波彫刻師による東本願寺の彫刻ガイドツアー」が行われました。
5日間で670名を超える参加があったツアーの様子を動画にまとめました。東本願寺の彫刻をとおして、信心に裏打ちされた両堂再建にかけた先人の思いにふれていただければ幸いです。