「部落差別問題に関する宗務職員研修 部落差別の過去・現在・未来―身元調査お断りの視点から―」開催
2016年8月2日(火)、しんらん交流館大谷ホールにおいて「部落差別問題に関する宗務職員研修」を開催し、北口末広さん(近畿大学教授)をお招きして「部落差別の過去・現在・未来―身元調査お断りの視点から―」のテーマでご講演をいただきました。
身元調査は、その人の出身地や学歴、家族の職業や経済状態、病歴などを本人も知らないところで聞きまわり、その内容によって就職への道が断たれたり、結婚が破談となり、時にはその人を死に追いやってしまうことさえあります。
この身元調査に寺院・教会の過去帳が利用され、現在でも調査・研究等の善意にもとづく協力や情報提供で過去帳を開示してしまう事例が報告されています。過去帳や門徒名簿が安易に閲覧される状況は、ご門徒のプライバシーや個人情報の漏えいにつながり、人に知られたくないセンシティブ(機微)情報が見られているのではないかという不安を与えてしまうことになります。まして過去帳は、寺院・教会の門徒の仏弟子たる名のりを記した法名帳であり、宗教的意義以外の目的に決して利用されてはなりません。
北口さんからは、現在も横行している身元調査の実態や、そこに潜む根強い差別の現実から、私たちが問われていること、そして差別を見抜き、差別を許さないこれからの取り組みについてのお話しがありました。その中では、弁護士や行政書士を騙って戸籍を不正取得した事件や、企業が社員の採用時に応募した人の身元調査を行っていたという事件など、具体的な事例を挙げながら、現在も続く身元調査をはじめとした部落差別について語られました。
身元調査の問題はなかなか見えづらいことがあります。1人ひとりにこの課題が伝わるよう、取り組みを続けていかねばならないことを再確認しました。