気運は自分たちで高めるもの
2018年の春、親鸞聖人御流罪の地である高田教区において、その象徴ともいえる2つの別院で「高田教区宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌法要」が勤まります。あと2年と迫る中、記念事業として高田別院では大門及び塀の御修復、新井別院では屋根の御修復が進められており、他にも様々な取り組みがなされています。
御遠忌各委員会が設立されたのは2011年8月2日。当初は御遠忌に向けての盛り上がりに欠けるという課題があったそうですが、各組・各ブロックごとにおいてお待ち受け大会を開催。それだけでなく、正信偈のお稽古や御遠忌テーマを確認する学習会等を重ねることで、徐々に関心が高まり、取り組みが盛んになってきたそうです。
取り組みは「開催して終わり」というものではなく、お待ち受け大会の様子や各取り組みの詳細が『御遠忌通信』によって報告され、ホームページでも創刊号より全号公開。御遠忌に向けて行われていることはいつでも振り返ることができ、いつでも情報を共有することができます。ホームページ自体も、「高田教区宗祖親鸞聖人七五〇回御遠忌特設サイト」と御遠忌専用。行事日程をはじめ、御遠忌に向けて欲しい情報は迷わず入手することができます。今、興味をもった人が調べるとすぐに情報を手にすることができるという環境を整えることは、御遠忌に向けての気運を高めるのに重要な役割を担っているようです。
お待ち受け大会では盛り上がりを広げる工夫が
御遠忌に向けての機運を高める大きな役割を担うお待ち受け大会。ここにも工夫が見られました。地域ごとに5つのブロックを編成し、実行委員会を組織。その中に教化部会も加わり、大会の計画・実施。御遠忌テーマである「私はどこで生きているのか~たずねよう真宗の教えに~」を根本に、教区の1人1人が自身の拠りどころを宗祖の心に寄り添いながら求め、確かめていく「場」とすることを願いとし、各ブロックの主体的な実施により、御遠忌法要厳修を実現するだけにとどまらない真宗門徒の誕生を願う大会にすることが目的とされています。
開催日程にも特徴があり、2016年秋(2016年度)、2017年春(2016年度)、2017年秋(2017年度)と御遠忌の日程へと段階的に近づいていく構成になっています。
会場は高田別院、新井別院をはじめ各地区で行われます。大会の内容は各ブロックにて決定され、対象限定せず、講師も各ブロックにおいて決定されるが、2016年秋のお待ち受け大会は教区内から選出。2017年春及び秋は教区内外に限らず同一講師によって、聴聞の場としての御遠忌法要に向けての連続性が生まれやすい工夫がなされています。
御遠忌記念グッズ・ロゴに込められた願い
また、お待ち受け大会が開催されたこの秋、御遠忌特設サイトにて御遠忌記念グッズの予約販売が始まりました。手掛けたのは教区坊守会すずなの会(若坊守会)。教区として御遠忌周知のための事業として紹介されています。念仏の歴史を見守ってきた外観が特徴的な高田別院と、樹齢500年のいちょうの木がある新井別院をデザインに取り入れました。そこに込められている願いは、1人1人に届いた念仏が途切れることなく伝わっていくように、そして両別院から念仏の声が拡がっていくようにというもの。静かに合掌するうさぎのモチーフは、「長い耳で聞法すること・声を聞くこと」、そして合掌する姿に日常を大切にしていきたいという思いが込められているそうです。
また、御遠忌のロゴマークも作成されています。図案制作は、上宮崇氏(高田教区第2組善正寺)。上越地方を代表する「妙高山」をかたどり、目を凝らすと「しんらん」の文字が浮かび上がるようなデザイン。ここにも、御遠忌テーマからの「私はどこで生きているのか」という問いに、「ここ、高田の地に生きている」という教区の方からの応答を見てとることができました。関わる人が問いを感じ、自らをたずね、応答する。真宗の教えにたずねるきっかけとなる工夫、そして出遇った人が次々と連なっていくことができるような工夫が、このお待ち受けの取り組みから感じられたことです。
真宗の教えが雪と同じように深く積もる高田の地。お待ち受けの時を経て、1人1人のお勤めが備わる御遠忌となることでしょう。