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ハンセン病市民学会の第14回総会・交流集会in沖縄が、「みるく世向かてぃ~差別に屈しない」(差別のない平和で豊かな世界に向って)をテーマに、5月19・20日に沖縄県内で開催され、第六連絡会として参加した。初日の交流集会会場の沖縄県男女共同参画センター「てぃるる」(那覇市)には、県内外から約500名が集った。

 

第1部「沖縄におけるハンセン病隔離政策の歴史とその特徴」 琉球大学の森川恭剛さんと徳田靖之弁護士の対談
第1部「沖縄におけるハンセン病隔離政策の歴史とその特徴」 琉球大学の森川恭剛さんと德田靖之弁護士の対談

 

交流集会・第一部は、テーマ「沖縄におけるハンセン病政策の特徴から何を学ぶか」で、德田靖之弁護士と森川恭剛琉球大教員による対談があった。現在、熊本地方裁判所で行われている「ハンセン病家族訴訟」で明らかになりつつある、沖縄におけるハンセン病差別の現在性とその深刻さの原因が、沖縄のハンセン病隔離政策の歴史に由来する点が指摘された。第二部リレートークでは、回復者である退所者も登壇し、国策による差別を訴えた。また父の手記を読み両親が受けた差別・偏見を知った沖縄本島北部在住の男性は、国策で国が押しつけている点で、ハンセン病問題も基地問題も問題の根底は同じ差別構造だと指摘した。

 

第二部 リレートーク
第二部 リレートーク

 

二日目は沖縄愛楽園(名護市)を会場に、4つの分科会が開催された。分科会Aは、「家族訴訟が問う、国の加害責任とは?~沖縄家族の「封印された叫び」から家族被害の本質を探る」がテーマ。「家族訴訟」の原告は568名で、30歳代から90歳代に及ぶ。居住地は北海道から沖縄にまで広がり、特にその約40%が沖縄在住である。德田弁護士は、原告で実名を名のっている人は一桁にすぎず、多くは家族に裁判への参加すら打ち明けられないという厳しい現状や、沖縄の原告が母親のハンセン病歴を理由に離婚に至ったという事例を取り上げ、いまなお生じている差別の深刻さを指摘した。さらに「家族訴訟」により、家族被害をもたらした国の責任と、差別した社会の側の責任を明らかにし、「家族」の被害からの解放と、元「患者」と家族との絆の回復が図られなければならないと参加者に訴えた。

 

分科会A 徳田康之弁護士
分科会A 德田康之弁護士

 

初日のリレートークで、ある登壇者が、ハンセン病問題に関わるなか、ある回復者から「ハンセン病問題に非当事者はいない。すべての人が差別される側の当事者か差別する側の当事者だ」との言葉に目の鱗がはがれたと、自らの体験を述べ、「差別する側の当事者には、批判を受け止める覚悟が必要だ」と締めくくった。
「らい予防法」の廃止から20年以上が経過しているにもかかわらず、差別の連鎖が絶えない現状をいかに打開していくべきか。「ハンセン病問題には非当事者はいない」という言葉は重く、「家族裁判」の意義の重要性を、あらためて心に刻んだ二日間となった。

 

真宗大谷派ハンセン病懇談会 第六連絡会 福島栄寿

(文責 解放運動推進本部)