テラスクールでは、別院・寺院教会へのテラスクール開設支援の一環として夏休みを利用し、
⭐︎「能」を体験できる親子ワークショップ⭐︎
を開催しました。舞の体験や能面を付ける体験を通して、能という文化の奥深さや、能楽師の方が大切にしている考え方を触れていただきました。

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●日 時 2018年7月16日(月・祝)14:00〜16:00
●場 所 真宗大谷派 岡崎別院
●参加費 500円

もうすぐ夏休み。7月16日は海の日。京都は17日の祇園祭の宵山で大勢の観光客で賑わっています。そして、気温は38℃で快晴となり、岡崎別院境内の植物の葉っぱもカラカラです。
当日は、岡崎別院近隣の小学生の親子・スタッフ含め約20名が参加しました。
※岡崎別院の本堂は冷暖房完備で快適

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ごあいさつのあと、早速、金剛流能楽師 宇高徳成(うだか のりしげ)先生にお能を学びました。
宇高先生は、26世金剛宗家に師事。幼少の頃より父、通成の師事の元に子方として舞台に立ち、子方時代を経てプロの能楽師になられ、国内外の公演にも多数参加されています。舞台活動以外にも、お稽古教室、映画の所作指導、能楽体験講座などを行い、能楽普及に努められています。この岡崎別院でも月2回お稽古教室をされています。

①まずはお能の歴史を学んでみよう
「お能を観たことはありますか?」
先生の問いかけに6人の方が手を挙げ、これまでに観た経験を参加者に話していただき、お能の歴史を学びました。
お能はだいたい室町時代からあり、あまり形を変えずに続けられているとのこと。
その特徴は「仮面」。これを「能面」と言い、古くはお能の始められた室町時代のものもあり、歴史の教科書などにも出てくる観阿弥、世阿弥、そして豊臣秀吉の使っていたものもあるそうです。

 

 

②能面を学ぶ
【孫次郎】
「金剛流に伝わる代表的な女性のお面です。当時の美人。二重の切れ長の目、顔は白塗り、眉を剃って高い位置に書き、歯は黒い。」
と一つひとつ解説いただき、お面の角度を上にしたり、下にしたり、横を向けたりして見せていただきました。
下を向けると悲しげな表情、上を向けるとにこやかな表情に見える少しの角度の違いで表情が変わるので、舞台に立つ時は気をつけているとのことでした。
そして、
「目の穴は非常に小さいので、ほとんど何も見えない。だから、舞台では四隅にある柱が目印になる。見えないからこそ、お稽古で、しっかりカタを身につけることが大事になるんです。」
と教えていただきました。

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③舞を舞ってみよう
先生にならって「高砂」(たかさご)という舞をまってみました。
一人ひとり扇子を手に、正座してご挨拶から始めます。その昔、能楽師は扇子を持ち刀を腰にさし、舞を間違えた時には切腹することもあったとのこと。
舞をする時には基本的にすり足、腰を少し落とし、姿勢を正して行います。
四角い舞台を円く舞うとイメージを教えていただきました。
本堂での舞の練習だったので、足踏みをした時には大きな音はなりませんが、実際の能舞台では、舞台の下に甕が入っていて反響してかなり大きな音が出るそうです。
「後で発表してもらいます。」
との先生の言葉に、なかなか身体が思うように動かないながらも、30分程度の間で必死に覚えようとがんばり、2班に分かれて発表を行いました。

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④先生の舞を実際に見てみる
一生懸命に舞を舞ってみたあとは、しばし休憩。慣れない動きは疲れます。
先生にはお能の装束に着替えていただいて、お能の鑑賞をしました。

先生の舞は、力強くて、優雅。角ばっていなく円い動き。少し前まで目の前にいたにこやかな先生とは別人のようです。
一気に引きつけられていきました。

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⑤能面を付けてみる
参加者を2班に分け、一列に並んで能面をつけてみました。
作法は、正座して、能面に向き合い一礼、そして面を裏向きにして顔に当てます。このとき、必ず面の紐を通すところしか手で触れてはいけません。本来であれば、装束をつけなければいけませんが、今日は特別です。
先生たちに紐を結んでもらい、立ち上がってみました。
「全然見えない。前しか見えない。」、「鼻のへんから少し見える。」
能面の目の穴は本当に小さい。こんなに見えないなんて、大人も子どもも知りませんでした。
そして、面を付けると、今までの自分ではないような不思議な気持ちになりました。
能面を外す時は、面の顎を上に向けて口から出た湿気が面に籠らないように気をつけてました。

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⑥まとめ
お能の「能」は能力の能。何か特別な能力があると考えられていたそうです。古い装束は戦国時代のものもあるとのこと。
「室町時代より、現代に伝わっているこの「お能」。この中には、礼儀、作法、能面、人と人との関係性、自然に対する思い、楽しみ、いのち、いろいろなものが込められています。そして、今日はお能の中の舞をするシテ方をしたけれども、太鼓や笛を演奏するする囃子方、その他、周りの準備する方々がいて成り立っている。
能楽師として受け継がれた大事なものを、さらに受け伝えていきたいと宇高先生は語られました。
古いけど、自分にとっては新しい。一生学びですね。