私たちは、この世を見るために聞くために生まれてきた。だから、何になれなくても、私たちには、生きる意味があるのよ
生老病死の問いを様々な現場で考え、表現している方を講師に迎え、「老病死」を抱える身として生まれた私たちの存在とはどういうものなのか、そのことをともに考える「しんらん交流館公開講演会」。
このたびは、小説『あん』の主人公「徳江さん」のモデルとなった、上野正子さんと著者ドリアン助川をお迎えし、対談を行います。
ドリアン助川さんは、ハンセン病との出会い、小説『あん』が執筆される経緯をこのように語られています。
1996年に「らい予防法」が廃止されて、ハンセン病の患者たちの人生がメディアで浮き彫りになった。子供の時に発病して療養所から出られず、70歳、80歳になった人たちにも絶対、生まれてきた意味があるはずだし、「人の役に立たないと」という言葉の暴力性を感じた。ハンセン病の療養所を背景に、本当の命の意味を書こうと誓った。でも、患者の手記を読むと、壮絶すぎて、心がやけどしたようになる。患者でもない人間が、無理かな、おこがましいかな、と、手が出ない状況が続た。
そんな中、2009年2月に埼玉県所沢市で呼ばれたライブに、お年を召された男女3人が最前列にいた。終わって聞いたら、ハンセン病療養所の「多磨全生園から来ました」と言う。そこで初めて、本当の元患者さんたちと出会った。「療養所に遊びにいらっしゃい」と誘われて行って、そこでハンセン病の歴史などを始め、いろいろ教えていただきました。
話をしてもらって、発見が相次いだ。
ハンセン病の知識がほとんどない俺みたいな奴が、患者さんと出会うことで差別の歴史を知り、最終的にはハンセン病も関係なく、人間って、生きている意味って何なんだと問いかけられればいいと思った。
このたびの講演会では、ハンセン病療養所で甘いものを作り続けたことを通して、正子さんと徳江さんの「生きる」ことについてお話しいただきます。
是非、ご来館ください。
●開催日時 2019年1月23日(水)18:00~19:30
●講 師 上野正子さん【星塚敬愛園副自治会長】✖︎ドリアン助川さん【作家・朗読家】
●講 題 正子さんと徳江さん
ハンセン病療養所で甘いものを作り続けたわけ
●聴 講 料 500円
※1階京都ホテルオークラ・オリゾンテのソフトドリンク1杯無料券付です。講演会のはじまる前に、美味しいコーヒー・紅茶をどうぞ(当日から2月末日まで有効です)
●そ の 他 事前申込み不要です。公共交通機関をご利用ください。
【上野正子さんプロフィール】
1927年、沖縄県石垣島生まれ。
1940年に沖縄県立第二高等女学校に入学するも、ハンセン病を発症し同年12月に星塚敬愛園に入所。
1998年のハンセン病国家賠償訴訟(※らい予防法違憲国家賠償訴訟)では第一次原告団13名のひとりとして名前を連ねた。小説『あん』(ドリアン助川著)の主人公、徳江さんのモデルとしても知られる。
2013年より敬愛園自治会副会長。各地での語り部活動にも精力的に取り組んでいる。
http://leprosy.jp/people/ueno/
【ドリアン助川さんプロフィール】
1962年東京生まれの神戸育ち。作家・朗読家。早稲田大学第一文学部東洋哲学科卒。日本ペンクラブ理事。長野パラリンピック大会歌『旅立ちの時』作詞者。
放送作家を経て、1990年バンド「叫ぶ詩人の会」を結成。ラジオ深夜放送のパーソナリティとしても活躍。若者たちの苦悩を受け止め、放送文化基金賞を得る。
同バンド解散後、2000年からニューヨークに3年間滞在し、日米混成バンドでライブを繰り広げる。帰国後は明川哲也の第二筆名も交え、本格的に執筆を開始。著書多数。
小説『あん』は河瀬直美監督により映画化され、2015年カンヌ国際映画祭のオープニングフィルムとなる。また小説そのものもフランス、イギリス、ドイツ、イタリア、レバノン、ポーランドなど11言語に翻訳されている。
2017年、小説『あん』がフランスの「DOMITYS文学賞」と「読者による文庫本大賞(Le Prix des Lecteurs du Livre du Poche)の二冠を得る。
【ハンセン病と真宗】
http://www.higashihonganji.or.jp/release_move/leaflet/pdf/hansen_disease_1.pdf
【映像公開】第37回しんらん交流館公開講演会2018/7/18(水)18:00~19:30 講師:ドリアン助川さん(作家・朗読家)