東本願寺の御影堂や阿弥陀堂に入ってみると、欄間に施された見事な彫刻が現れます。それだけでなく、いたることに見事な彫刻を見ることができます。

 東本願寺は、1864(元治(がんじ)元)年の禁門(きんもん)の変で焼失し、1895(明治28)年に再建されました。その際に尾張(愛知県尾張地域)・京都・越中井波(富山県南砺市)などから全国屈指の技を持つ彫刻師が駆け付け、その卓越した技術よって見事な彫刻が随所に施されました。

 なかでも御影堂門には、彫刻主任を務めた井波の彫刻師 岩倉理八が施した龍が境内・御影堂側に、尾張の彫刻師 早瀬長兵衛が施した龍が烏丸通り側に睨みをきかせています。

 井波の彫刻師と東本願寺のつながりは深く、そのはじまりは江戸時代にまで遡ります。井波には本願寺第5世 綽如上人が創建した井波別院瑞泉寺があり、瑞泉寺が1762年に焼失した際に、東本願寺の御用彫刻師・前川三四郎らが再建事業のために派遣されました。そして、井波の大工が前川三四郎に弟子入りして彫刻の技術を学んだことから歴史が始まります。

 その後、井波の彫刻師たちは切磋琢磨し、その技術を発展させていきました。大正時代に再建された瑞泉寺の太子堂は、明治期の東本願寺の再建事業で、全国の彫刻師と腕を競い合った井波彫刻師の匠の技の宝庫。様々な場所に透かし彫りの彫刻が施され、井波彫刻の粋を集めた建造物と言われています。

 今では日本一の彫刻のまちとして知られ、日本遺産「木彫刻のまち 井波」に選定された井波では、 瑞泉寺の門前に彫刻師の工房が立ち並び、木の香りとともにコンコンとのみをたたく音が響いています。

御影堂門の彫刻

 

「東本願寺の彫刻ガイドマップ」

東本願寺の彫刻の見どころを紹介した「東本願寺の彫刻ガイドマップ」もダウンロードいただける宗祖親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要「井波彫刻師による東本願寺の彫刻ガイドツアー」の特設ページは、こちら

協力:井波別院(ホームページはこちら