民藝とは民衆が日々用いる工藝品との義です。(中略)それ(ゆえ)民藝とは民器であって、普通の品物、すなわち日常の生活と切り離せないものを指すのです。それ故、ふだん使いにするもの、誰でも日々用いるもの、毎日の衣食住に直接必要な品々。そういうものを民藝品と呼ぶのです。したがって珍らしいものではなく、たくさん作られるもの、誰もの目に触れるもの、安く買えるもの、どこにでもあるもの、それが民藝品なのです。(中略)しかし民藝品はごく普通のもの、いわゆる上等でないものを指すため、ひいては粗末なもの、下等なものという連想を与えました。実際高級な品、すなわち上等品に対してこの言葉を用いる時が多いため、雑器など云うと侮蔑の意に転じています。つまらぬもの、やくざなもの、安ものを意味しています。このためか今日まで民藝品は工藝史の中に正当な位置を()つことができず、愛を以て顧みる者がほとんどなかったのです。

(柳宗悦『民藝とは何か』)

民藝運動は、民衆の「美」を追い求める運動でもありました。そして、1946(昭和21)年に越中・富山で「土徳」と出あうことにより、柳の思想がさらに飛躍していきます。

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