妙好人に着目した作家として司馬遼太郎(1923~96年)があげられます。
司馬遼太郎は、産経新聞の新聞記者時代には京都宗教記者会に在籍していました。
宗教専門の記者クラブは、東西本願寺に記者室があり、世界にバチカンの記者会との2つしかないと言われています。司馬遼太郎が作家となる契機となった直木賞受賞作『梟の城』は、もともと京都宗教記者会の縁で宗教専門紙「中外日報」に連載された小説でした。
司馬遼太郎が亡くなるまでの25年にわたって書き続けられた『街道をゆく』は、書籍にして全43巻の大紀行です。
その単行本の題字は棟方志功が、初期の装丁は芹沢銈介が手掛けました。
『街道をゆく』のうち、「郡上・白川街道と越中街道」では、五箇山を訪ねて赤尾の道宗について考え、「因幡・伯耆のみち、檮原街道」では、柳宗悦と民藝そして源左についてふれています。
妙好人というのは、禅でいう悟りの境地を得た人のいわば”民芸版”ともいうべき精神の人のことである
司馬遼太郎『街道をゆく』ー因幡・伯耆のみち、檮原街道ー