真宗同朋会運動研究班報告 「金子大榮師の没後五十年に向けて」
(名和 達宣 教学研究所所員)
再来年(二〇二六年)は、真宗大谷派の教学史に重要な足跡を残すとともに、岩波文庫『歎異抄』『教行信証』の校注・解説を担当するなどして宗門外にも真宗の教えを広く伝えられた金子大榮師の没後五十年に当たる。その節目に際し、教学研究所では、『教化研究』(第一七七号、二〇二六年冬に発行予定)にて、師の生涯と思想を尋ねる特集を組む予定であり、現在、その基礎となる調査・研究に取りかかっている。
当研究所ではこれまでに、「宗門近代史の再検証」という課題の一環として、『教化研究』の第一六一号(二〇一七年)、第一六三号(二〇一九年)にて「「近代教学」再考」、第一六七号(二〇二一年)にて「曽我量深没後五十年」の特集を組み、考究を重ねてきた。特に第一六七号では、金子師と同様に現代の教学に多大な影響を及ぼしている曽我量深師の思想と、師における「異安心」問題や戦争という経験(戦時教学の問題)、晩年に起こった『中道』誌差別事件といった出来事の検討を試みた。今、準備を進めている第一七七号においても、金子師の『教行信証』をはじめとする教学研究の功績・意義、ならびに「異安心」問題や戦時教学の問題等を、現代の教団教学に通底する課題として探究していきたいと考えている。
さる六月二十六日、金子大榮研究の先駆者である龍溪章雄氏(龍谷大学名誉教授)の自坊を訪ね、金子研究に取り組むことになった経緯や、今後取り組むべき研究課題等についてお話をうかがった。このインタビュー内容も、『教化研究』第一七七号に収録予定である。
(教学研究所所員・名和 達宣)
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([教研だより(219)]『真宗』2024年10月号より)※役職等は発行時のまま掲載しています