名古屋駅から南西に徒歩で二十分ほど、繁華街を抜けた住宅地の中に善成寺はある。当日は住職の椙村保成さん、長男で副住職の椙村英正さん、長女の丹羽浩加さんからお話を伺った。
善成寺は一九二八(昭和三)年、保成さんの祖父の代に説教所として開設され、一九五三(昭和二十八)年に寺院となった。そして二〇一九年に老朽化等の理由により、現在の土地に移転された。敷居が低く来てもらいやすいお寺、集まりやすいお寺にしたいという住職の願いから、限られた土地の中でも駐車場を広くし、スロープを設け、本堂では内陣・外陣のかわりに参詣席を広くとるなど、様々な工夫がなされている。
善成寺では、報恩講、永代経の他に昨年七月から新たに盂蘭盆会をはじめられた。その際に、司法書士の方を講師に招き終活セミナーを開催したところ、普段あまりお寺には来られない若い方も来られて、大変好評であったとのこと。
長女の浩加さんは、善成寺を事務所兼会場として、結婚相談所「名古屋寺婚Mark」を運営されている。日頃からお寺で何かできないかと考えていたところ、ご縁を繋ぐ仕事という内容で結婚相談所を紹介するテレビ番組を見て感銘を受け、自分もやってみたいと思い立ったという。お寺が事務所ということで安心感や信頼感があるそうで、お見合いや婚活パーティー(寺コン)もお寺を会場に開催している。浩加さんは「お寺とのご縁と言えば、お葬式など亡き人をご縁にという場合が多いが、人生に関わる節目として、葬儀だけでなく結婚という形でもお寺に縁を持ってほしい。婚活に限らず関係性の薄い社会になっているので、親戚や近所のご縁も繋いでいけるようなお寺になれば」と話された。
取材の最後に副住職の英正さんは「葬儀に限らず一人の人生に寄り添い、本人だけでなくその家族とも繋がっていけるような関係性を築きたい。気軽に話を聞きやすい、相談しやすい身近なお寺、そんな存在になりたい」と語られた。色々な方にお寺に来てほしい、そのためにお寺で何かできないかとご家族で仲良く協力して考えていく。そんな善成寺の皆さんの温かい雰囲気を感じる取材となった。
(名古屋教区通信員・廣瀬 彰紀)
『真宗』2025年3月号「今月のお寺」より
ご紹介したお寺:名古屋教区第二十組善成寺(住職 椙村 保成)※役職等は『真宗』誌掲載時のまま記載しております。