2025年6月22日、カナモトホール(札幌市民ホール)において、北海道教区宗祖親鸞聖人御誕生八百五十年・立教開宗八百年慶讃法要が厳修されました。


当日札幌は朝方にかけ雨が降っていましたが、慶讃法要が始まる正午過ぎには雲間から太陽が顔を覗かせ最高気温23℃と過ごしやすい陽気となりました。


道内各地より約1500名の門信徒が集まり、カナモトホールの席はほとんど満席状態に。

会場に入る来場者
満席のカナトモホール

法要は第一部と第二部で構成され、第一部は「音楽法要」という形式で勤行が勤められました。従来の法要の形式にとらわれず、音楽の力を活用することで、参拝者がより身近に、より深く仏教にふれ、その教えを理解できるような工夫が凝らされました。参拝者には事前に慶讃法要委員会が作成した『音楽法要冊子』を配布しており、当日は多くの門信徒が唱和しました。 

音楽法要


その後の、酒井義一氏(東京教区存明寺住職)によるご法話の際は、随所に北海道教区女声合唱団マユーラによる歌唱が織り込まれ、多くの参拝者にとっては初めての法話形式となり身を乗り出して聞き入いる様子が見られました。

歌唱と共に行われた酒井義一によるご法話


   酒井氏は、ご法話の中で「親鸞聖人に出遇うとはどういうことか」という問いを投げかけられました。そしてそれは、「親鸞聖人に実際に会うことはできないが、その教えにふれ、慶びの中に生きた人に出遇うということが、現代において親鸞聖人に出遇うということである」と述べられました。この言葉は、参拝者にとって非常に示唆に富むものであり、自身の信仰を見つめ直すきっかけとなったことと思われます。 


  
   第二部では、北海道教区記念ソング『ヒカリコトバ』が寺田沙世氏(北海道教区第四組浄見寺住職)によって披露されました。


この曲は、子どもから大人まで歌って踊れる曲を未来に残したいという願いから教区慶讃委員会が企画し、シンガーソングライターのモノノケユースケ氏と、ミュージシャンのオーノキヨフミ氏によって作詞作曲されました。ステージには石狩大谷子供劇団「碧い海」の皆さんも登場しダンスが披露され、その可愛らしい姿は会場全体を温かい雰囲気に包み込みました。 

寺田沙世氏による北海道教区記念ソング『ヒカリコトバ』の披露


法要の最後には、北海道出身でショッピングモールの歌姫と称されるシンガーソングライター半崎美子氏によるライブが行われました。半崎氏の歌は、今回の法要のテーマである「南無阿弥陀仏~人と生まれたことの意味をたずねていこう」を深く掘り下げたものであり、参加者の心を揺さぶりました。特に、歌詞に込められたメッセージに共感し、涙する参加者も多く見られました。 

半崎美子氏によるライブ

また、カナモトホールロビーには、教化本部社会教化部門の差別問題研究部会、靖国問題研究部会、ハンセン病問題班、原発問題班が制作したパネルが展示されました。そこには現代社会が抱えるさまざまな問題を取り上げられており、参加者は休憩時間などを利用して、パネルを熱心に読み込んでいました。パネルを通してこれらの問題に対する理解を深めるとともに、仏教の教えが現代社会にどのように貢献できるのかを考える機会を得ました。

パネルが展示の様子

参加者からは、「音楽と仏教が融合した新しいスタイルの法要で、非常に分かりやすく、感動した」「音楽に合わせて自然と念仏申していた」「半崎美子さんの歌に涙が止まらなかった」「現代社会が抱える問題についてあらためて考えるきっかけになった」など、多くの感想が寄せられました。また、「今後もこのような音楽法要を開催してほしい」という要望も多く、聞こえました。今回の音楽法要は、伝統的な法要の枠を超え、音楽の力によって仏教の教えをより身近に感じられる新しい可能性を示唆するものでした。スタッフの間では、今回制作された歌「ヒカリコトバ」とダンスを今後も北海道の青少年教化の場でも活用していきたいという強い思いがあります。ぜひYouTubeでもご覧ください。 



(北海道教区通信員 矢田真之)