宗祖親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃事業として取り組んでいる「若者教化立ち上げ応援プロジェクト」に応募された山陽四国教区備後組光圓寺さん。(※プロジェクトの詳細は、記事末尾参照)


「お寺であそぼ×トーキョーコーヒー」+「焚火部」若者のつどいが、2025年9月14日(日)、広島県福山市大門町の光圓寺(河野大介住職)で開催されました。

光圓寺では、住職さんと坊守さんが音楽などを通じ、毎月さまざまなかたちで“お寺をひらく”活動を続けておられます。今回は、月1回の子ども向け企画「お寺であそぼ×トーキョーコーヒー」に、こちらも毎月一回住職さんと同世代の保護者と焚き火を囲んで語り合う「焚火部」がコラボし、青少幼年が集う一日となりました。

当日は14時ごろから会場がオープン。開閉会式は設けず、「なんとなく始まり、なんとなく終わる」——好きな時間に来て、思い思いに過ごし、自由に帰るスタイルです。遊びや食事の準備、全体の流れは住職さんと坊守さんが大づかみに思い描きつつ、そのときどきの状況に応じて進んでいきます。

同じ備後組の明正寺・西運寺にも声をかけ、各寺から親子連れが参加。この日の参加者は、子ども約50名、保護者約50名でした。


 

「トーキョーコーヒー」とは

「トーキョーコーヒー」は“登校拒否”のアナグラム(文字の並べ替え)に由来する名称で、「問題は子どもの不登校ではなく、大人の無理解」という視点から、教育や子育て、そして豊かな社会について大人が学び、対話を生み出すムーブメントです。吉田田タカシさんが立ち上げ、学校に行かない選択をした子の保護者や趣旨に賛同する大人たちがそれぞれの場で集い、農業・ダンス・ヨガなど「やりたい活動」を通して大人自身が楽しく過ごすことを特徴としています。光圓寺もこの活動に賛同されタイトルにつけているとのことです。


                 光円寺山門前

光圓寺のようす

光圓寺は、縦につながる3つの書院、池のある境内、裏手の竹林と空き地が本堂と書院を囲むようにゆるやかにつながり、家族で過ごしやすい動線が整っています。

      書院で遊ぶ子どもたち

開け広げた書院にはレゴやKAPLAなどのブロック、マンガや各種ボードゲーム、滑り台や室内ジャングルジムなどの遊具、外には木のブランコやハンモック、今の季節にはビニールプールも用意。保護者は書院内で談笑や読書をしつつ、子どもたちと自由に過ごしていました。

台所では、保護者と坊守さんが食事の準備を進行。途中「かき氷あるよー」の声に、子どもたちがうれしそうに集まり、順番にかき氷を受け取る場面も。

境内の池では、希望する子どもに向けて住職が枝とひもで即席の竿を用意し、子どもたちがザリガニ釣りを楽しんでいました。

やがて住職さんの「流しそうめんするよー」の呼びかけで、割った竹から流れる水とそうめんを、20人ほどの子どもたちがわいわいとすくいました。初めて体験する子も、すぐにコツをつかんでいました。


本堂で「こども会議」

17時過ぎ、住職さんが白衣・間衣・輪袈裟に着替えて登場し、「本堂に集まって、おつとめと子ども会議をするよー」とマイクで案内。遊びをいったんとめた親子が本堂へ集い、正信偈・同朋奉讃を唱和したのち、子ども会議が始まりました。

       子ども会議のようす

子ども会議は、子どもたちの集まる場で起きるさまざまなこと——問題やモヤモヤを出し合い、みんなで考える試みです。前回は「廊下を走ること」を話し合い、「やっぱり廊下は走りたい!」に落ち着いたものの、膝をくっつけて走るという“安全ルール”を添えることに。

この日は「廊下で走ってぶつかった問題」「人生ゲームが出しっぱなしになっていた問題」が話題に。住職さんが「どうしたらよかったかな?」と問いかけると、「人生ゲームは机の上に上げておく」「遊び終わったらすぐ片づける」「走りたい人は外で走る」といった意見が出て、この楽しい場をみんなで守るための約束を考える時間になりました。


焚火部

         焚火部の活動

子どもたちは引き続き書院で遊び、その合間にハンバーグとロールキャベツ、炊きたてのごはんで食事タイム。頃合いを見て、住職さんやお父さんたちは裏手の空き地で焚き火の準備を始めました。

やがて火が起こると、暮色のなかで焚き火の不思議な安心感に包まれ、住職さんと保護者たちが、時にはお酒も交えながら語らいを深めました。子どもたちも書院から飛び出し、焚き火の周りを行き来。台所からはソーセージやマシュマロが運ばれ、焚き火であぶって味わいます。

その折、子どもから「南無阿弥陀仏って、何?」という問いが。輪にいる住職さんや大人たちが、言葉を選びながら一人ひとりの言葉で応じていく——焚き火がつくる自然な対話が心地良かったです。

終了予定の20時には、「そろそろ花火しよう」。境内に再び集まり、置き型花火に火が入ると、光と余韻を分かち合ってお開きとなりました。


住職さんに聞きました——「お寺であそぼ」と「焚火部」について

河野大介 住職
 たとえば僕ならこの書院のたたみに寝転がってのんびりしたい。裏の竹林の広場でなら焚き火がしたい。じゃあみんなはここで何がしたいだろうか?ということを聞いたり考えたりしているうちにこういうことになりました。冬になったら餅つきをしてみたい、夏になればプールに入りたい。おなかがすいたらご飯を食べたい。

         住職のお話

スタッフ係も規則もスケジュールも参加費もなんにもありません。そして何かをしてください、ということもありません。おとなもこどもも、門徒さんもご近所さんも知っている人も知らない人もいっしょに、自由に気ままに時を過ごします。

少し前から本堂で「こども会議」を始めました。僕がご本尊を見てもらいたいと思ったからです。感じたことやみつけた問題点、したいこと、こどもたちからいろんな意見、いろんな反応があります。でもこの会議は言いっぱなしでおわり。結論は出しません。自分といっしょに過ごしているみんながちがう思いや考えを持っているということを感じて欲しいからです。そのあとにお勤めをします。これは僕がしたいからやっています。これも自由参加です。こどもたちが何人も残っている日もあれば、みんな遊びに出ていっちゃう日もあります。

 みんな好きな時間に来て好きな時間に帰っていく。遊び尽くしてお腹いっぱいの人もいればただぼーっとして過ごす人もいる。僕や坊守に「この会はこうあるべきだ」とか「こうじゃなければ」という考えはありません。自分を「べき」で縛らず安心して他者と関わり過ごしていられる場所があればいいなあと思います。そういう場所がお寺だったらいいなあと思います。



《若者教化立ち上げ応援プロジェクトに応募しませんか?》

青少幼年センターでは、宗祖親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃継続事業として、「若者教化立ち上げ応援プロジェクト」に取り組んでいます。

子ども会は開いていたけれど、若者世代との関わりが十分できていないなぁと感じていたという河野住職。まずは同世代の友人たちと何かできないかなと思い「焚火部」を始めたそうです。そんな時、「若者教化立ち上げ応援プロジェクト」の募集を知り、すぐに応募させてもらったとのことです。 


皆さんのお寺でも、若者と共に教えを聞く場を開いてみませんか?


開催経費の補助や、寺院活性化支援員による事前相談もご利用いただけます。

【詳しくは青少幼年センターホームページをご覧ください。】

(寺院活性化支援員 藤間 哲祐)