世代を超えて多くの人が集い、皆の居場所となる──淨源寺では、月に二回、そのような賑やかな日が訪れます。門徒の方々や、地域の人々にとって、お寺とはどのような場所なのでしょうか。
淨源寺では、約三年前より、高齢者を対象とした「シルバーリハビリ体操教室」が始まりました。きっかけは、坊守の裕子さんが義両親の健康を気遣い、体操指導の資格を取得されたことでした。その際の講師から「地域の方々にも活動の輪を広げてほしい」という思いを託され、門徒に限らず、地域の高齢者も参加できる教室が開かれるようになったのです。
この体操教室は現在、市民活動団体として成長し、毎月多くの方々が参加する場所となりました。教室は開催日の九日・二十八日にちなんで「こんにちは」と名付けられ、現在では「大人の部」と呼ばれています。
そして、「こんにちは」(大人の部)の開設から約一年後、「子どもが気軽に訪れ、頼ることができる場所をつくりたい」との願いを込めて、「子どもの部」が始まりました。
「子どもの部」は、子どもたちが朝昼のごはんをみんなで食べられる場所を提供することを主な目的に、土日や長期休暇中に開かれています。例えば夏休みの子どもの部では、ごはんを食べるだけでなく、お勤めの稽古をはじめとした寺の活動や、学習支援といった子ども福祉の取り組みを行うなど、お寺の活動と地域福祉が一つの場で両立されています。「学校でも家庭でもない第三の居場所をつくる」という福祉の理念のもと継続されており、子どもだけでなく大人も一緒に参加し、世代を超えたつながりを育む場にもなっています。
普段は朝ごはんをとらない子どもたちが、「ここに来ると楽しくごはんが食べられる」と話してくれることに、活動の意義や手応えを感じていると、裕子さんは語られました。
さらに今年からは「同朋の会」も発足し、お勤めの稽古や座談会、仏教にまつわる話などを通じて、主に五十代の方々を中心に語り合う場が設けられています。 お年寄りも、子どもも、気軽に頼ることができる場所。子どもの頃に親しんだお寺が、大人になってから懐かしさとともに再び訪れる場所であってほしい──そんな願いのもと、淨源寺は、聞法の場、地域福祉の場、そして子どもと高齢者をつなぐ場として、地域の人々のすぐそばにあり続けています。
(大垣教区通信員・内田篤宏)
『真宗』2025年11月号「今月のお寺」より
ご紹介したお寺:淨源寺(住職:熊谷 岳久)
※役職等は『真宗』誌掲載時のまま記載しております。































