「生・老・病・死」の問いを現場で考え、表現している様々な分野の方を講師に迎え、現代のすがたをみつめる「しんらん交流館公開講演会」。
7月は、社会学者の上野千鶴子(うえ のちずこ)さんをお迎えし、開催しました。

●講   題 『死にゆくひとはさびしいか? 在宅ひとり死のススメ

 

上野千鶴子さんは、1948年富山県生まれ。著書に『おひとりさまの老後』『男おひとりさま道』(共に法研)、最新刊に『時局発言!』(WAVE出版)があります。

「長生きすればするほど、みんな最後はひとりになる。結婚したひとも、結婚しなかったひとも、最後はひとりになる。」

事実であるが、なかなか生活している中では気付くことができない、この言葉ではじまる『おひとりさまの老後』は、子どもに頼らない、ひとりの老後の暮らしを現実的な視点から考えた本として、ベストセラーとなりました。

DSC08185その中では、

「はじめから自分の弱さに居直って生きていく道はないだろうか」

「ユーモアって、自分を突き放す能力、自分を相対化する能力」

「死にゆく人の混乱に翻弄されてあげるのが家族の役割だ」

「むしろ自分をすべての人に開いていける能力」

など、この世に生を受け、老い、病気を患い、死んでいく身として、励まされる言葉の数々を記されています。

総務省の発表では、国内における80歳以上の高齢者の人口が1千万人を超え、現在の日本においては「4人に1人が高齢者」ということになります。さらに、厚生労働省の研究機関では、2035年には総人口に占める高齢者の割合が33.4%となり、「3人に1人が高齢者」になるという推計も出されています。

 

DSC08197【メッセージ】

家族の中で生き、家族の中で死ぬ人生は過去のものになりつつある。非婚率が高まり、独居世帯率が増加するなかで在宅ひとり死も現実的になってきた。制度と医療が救えるもの、救えないもののなかで、死にゆくひとに宗教は何ができるのか?

上野研究室ホームページ https://wan.or.jp/ueno/

講演では、「年齢の節目で人生の優先課題が変わる」と、当たり前だけど、当たり前だからこそ気付けないことばをいただきました。

上野さんに、「この方のお話を聞くべき!!という方はいらっしゃいますか?」とお聞きしたところ、この動画にも出てこられます

髙口 光子(たかぐち みつこ)さんを推薦され、10月18日にお越しいただくこととなりました。10月は入ってみないとなかなかわからない〝介護施設”の現場のお話をいただきます。

高口光子チラシ