「地域のために取り組んでいる方々のお話を聞いて、寺院活性化支援室の取り組みに生かしたい!!」
そんな思いから、4月9日滋賀県奥伊吹で「東草野まちづくり懇話会」などに取り組まれ、近隣寺院の代務者も複数勤められている 法雲俊邑さん(長浜教区第17組觀行寺住職)にお話を聞きました。
東草野のある伊吹町は、2005年に米原町・山東町・近江町と合併し、米原市となりました。
2007年に発足した「東草野まちづくり懇話会」では、「少子高齢化」、「過疎化の進行」、「村や寺社の年間行事の困難さ」、「高齢化世帯の生活の不便さ」そんな問題が明らかになり、取り組みを続けられているとのこと。住んでいる方々の思いを大切にされています。
ひたすら、消滅廃村になることは避けたいと、地域の良さ(山の景色を残したいという思いが住民のランキング№1)を発信するとともに、都会からの移住の受け入れを図り、10世帯以上の方が移り住まれています。
【取り組んでいること】
・街の人を呼び込み、定住者を増やす活動(農業体験、蕎麦打ち、雪掘り野菜収穫体験、空家対策
※移住者には事前に十分説明し、村の行事に参加いただいている。
・景観を守り、地元を大事にする意識を喚起するため、「日本遺産」文化的景観保護法の適用地域とした。
※文化の継承をはかりたい(採れるもの、ことば、文化)
・産業を興す活動(自伐型林業、マキ、炭焼き、バイオマス発電)
【できたらいいと思うこと】
・エネルギーフリー(電気・ガス・水道料金ただ)で住める場所とならないか。
懇話会のメンバーはほぼ70代とのこと。「いづれは消滅するかもしれないが、自分の生きている間はがんばりたい。」そんな思いから行政も巻き込んで活動されており、地域の特色で元気づくりを行い、持続可能な形態にしたいとのこと。
【地域のお寺として】
「村の元気づくりがお寺の元気づくりにつながる」
「お寺のことばかり」ではなく、お寺も地域なくしては存在しない。生活者としてご門徒、地域の方々とコミュニケーションをとっていくことが大事だと思う。そのことによって、つながりが深まる。
「お墓を移したいとの要望がある」
米原市や長浜市、彦根市などに移り住んだ方々から、今ある墓地を街の墓地へ移したいとの要望がある。
※高津原地区は木地師のが多く、もともと移住生活が基本だった。そのた遺骨は本山に納めている。
「地元とのつながりが深まった」
代務者としてお寺の報恩講を勤めることはなかなか大変なこともある。そのお寺で十分な関わりが持ちづらいこともある。しかし、勤めさせていただくことは尊い。
「葬儀は近年セレモニーホールばかりになった」
家で葬儀をしたいという思いはあると思う。しかし、高齢者が高齢者の葬儀をする場合、物理的に準備ができない。
【任せることと信頼感】
今回、お話を聞いた中で特筆すべきこととして「東草野まちづくり懇話会」について若手移住者に活動を任せているところです。例えば、活動を引っ張る母体であるの事務局をされているのは移住者の方でありました。移住者は新参者ということで、一般的に主導権を握って活動することは難しいですが、東草野の場合は法雲さんの地域の信頼が上手く補っているように感じました。地域における信頼感という意味では、古くからあるお寺も近いものがあるのかもしれません。地域に信頼されるお寺が、アイデア豊富かつ相性の合う若手の人と組むことができれば、その地域はいい動きが出てくるのかもしれません。お寺の可能性を感じられました。
『滋賀夕刊』2014年09月05日 法雲俊邑さん 甲津原の歴史、まちおこし